「なんで私、あんなことやってしまったんだろう?」
ハンプトン子爵令嬢は、リンゴ少年を助けた自分に驚いていた。
「きっと門番に追い返されたのがショックで、自分らしくないことやっちゃったのね。」
はぁー。とハンプトン子爵令嬢はため息をついた。
「「それにしても、こっちがエマ殿下に謝ってやろうって言ってるのに追い返すなんて、最低ね!!酷いわ!!酷いわ!!」」
ハンプトン子爵令嬢は、家の中で喚いた。

「アリア、あなたが悪いのよ。」
「そうだ、アリアに非があるぞ。」
ハンプトン子爵令嬢の親が怒った表情で言った。
「え?どういうこと?」
「「そう簡単に許される問題じゃないってことだ!アリアは、物事を簡単に考えすぎだ!世の中、そんなに甘くないぞ!!」」

「「うるさいーー!!!うわーん!!」」
ハンプトン子爵令嬢は、親に怒られて自分の部屋へ閉じこもってしまった。
「アリア、出てきなさい!!」
「アリア、早く出てくるんだ!!」
親が言っても、ハンプトン子爵令嬢は部屋から出てこない。
「困った子ね。」
「どうしたらいいんだ。」



翌日。

「おーい。出てくる気になったか?」
「「嫌!!絶対、出ないんだから!!」」
「そんな意地をはっても、しょうがないだろう!!」
「「うるさいーー!!」」
ハンプトン子爵令嬢は、全く部屋から出る気配がなかった。

「旦那様、私に手がございます。」
見かねたメイドが口をはさんだ。
「なんだ?」
「お嬢様の友達のタナカさんと、最近お付き合いされているアベラードさんに来ていただき、部屋から出るように説得してもらうのはいかがでしょうか?」
「良い考えだな!!しかし、わしはタナカさんとアベラードさんの名前しか知らないんだよ。残念だが、連れてこれん。」
「旦那様、そんなこともあろうかとタナカさんとアベラードさんの似顔絵を描きました。私、絵には自信ありますのよ。」
そう言って、二人の似顔絵を見せた。
「ん?この男、どこかで見たことあるような?」