「まず、『お引き受けいただき、ありがとうございます。楽しみにしています。』と書いてあるけど、一体フランクは何を引き受けたんだと思う?」
ハンプトン子爵令嬢がみんなに尋ねる。
「えーと、次の手紙には『まだ手に入れることができないのですか?あなたなら、すぐに手に入れることができると思ったのに……。』と書かれているので、フランクさんならすぐに手に入れることができると思われるものを相手に渡すことを引き受けたのでしょうね。
だが、なかなか手に入れることができなくて相手から催促の手紙が送られてきたみたいですね。
そして、次の手紙では『まだ手に入れることができない理由はわかりました。私は我慢が嫌いですが、仕方がないですね……気長に待つとしましょう。』と書かれているので、フランクさんはまだ手に入れることができない理由を相手に伝えてなんとか納得してもらったみたいですね。
しかし、次の手紙では『頂いたものは、私が求めていたものではありませんでした。次は間違えないでください。』と書かれているので、フランクさんは相手が求めていたものとは違うものを渡してしまったということですね。
次の手紙では『確かに私が求めていたものでした。後日、お礼に参りますのでお待ちください。』と書かれているので、フランクさんはやっと相手が求めていたものを渡すことができたみたいですね。」
アベラード卿の長い説明が終わった。
「報酬は、やっぱりスブルストの紙幣だったのでしょうか?」
「タナカさん、私も報酬はスブルストの紙幣だと思うわ。スブルストの紙幣をグラスターのお金に両替して豪邸を建てたに違いないわ!」
「しかし、相手はよくそんな大金を持っていましたね。コーニエルさん、スブルストに住んでる人でそんな大金持ちの人っているんですか?」
「うーん……スブルストに住んでいる人の大半は農業をしていて、自給自足で生活しているんだ。だから、会社勤めしている人じゃないと給料もらえないよな。自分ところで作った作物とかをお店に卸しても農業をやっていない人が少ないから、あまり売れないと思うぞ。だから、お金はあまり入ってこないだろうな。」
「じゃあ、スブルストに大金持ちの人はいないということですか?」
「そうだな。」
「コーニエルさん、ちょっと待ってください!」
アベラード卿が口を開いた。
「いますよ!スブルストに大金持ちの人が!」
「そんな奴いたか??全然、思いつかないんだが……?」
「スブルストの国自体なら持っていますよね?」
「は?」
「スブルストの国王なら、自分ところのお金を自由に使えるんじゃないですか?」
「ダメだろ!そんなことしたら!勝手に使ったら!」
「いや、たぶんあの国王は見た感じ悪いことやっているような雰囲気だったから、自由に国のお金を使っててもおかしくないと思いますが。だって、コーニエルさんの親友を人質に取って、コーニエルさんにハンプトン子爵令嬢を操らせ、グラスターの第一王子を間接的に殺そうとするくらいですからね。」