田中さんが挟まっているものを引っ張ってみると、それは手紙だった。
「なんで本に挟んでるのかしら?」
ハンプトン子爵令嬢が疑問を口にした。
「なぜでしょうね……。えーと、手紙の差出人は書いてないですね。」
「おい、俺にも見せてくれ。
ん?この手紙、スブルストから来たみたいだな。スブルスト中央郵便局の消印になってるぞ!」
「あっ!本当ですね。何が書いてあるんでしょうか?中身が気になりますね。開けても良いでしょうか?」
「開けちゃえ、開けちゃえ!」
ハンプトン子爵令嬢が田中さんを促す。
「じゃあ、開けちゃいます!!」


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確かに私が求めていたものでした。
後日、お礼に参りますのでお待ちください。
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「差出人が求めていたものを渡したから、後日そのお礼に行きますということよね。」
ハンプトン子爵令嬢が文に書いてある通りのことを言う。
「もっと具体的に書いてほしいですね。」
田中さんが文句を言う。
「お礼はなんだったんでしょうね?」
いつの間にか、アベラード卿が3人の隣にいた。
「うわっ!?ビックリした!!」
「勝手に会話に入ってこないでくださいよ!」
「酷い!!最近、俺の扱い酷くないか??」
アベラード卿が嘆く。思わず、素が出てしまった。
「……とりあえず、他の本にも手紙が挟まれていないか調べてみましょう。」
アベラード卿が眉間に皺を寄せながら言った。