「えー!!なんで、ティム様が行かないんですか!?」
「それは、ハンプトン子爵令嬢に会いたくないからだよ!」
「なんでですか?」
「なんでって、分かるだろ?」
「分かりません。」
「元婚約者だからだよ!!察してくれよ!!」
「元婚約者だからって、会えないことないでしょ!」
「会いたくないんだよ!!」
「なんでですか?」
「気まずいからだよ……。」
「別にティム様は悪いことしてないんですから、気まずくならなくていいですよ。」
「だけど、リリーはよく思わないだろ!」
「そんなことないですよ!お義父様も許可しているんですし。」
「いや、お義父さんは何も考えずに許可しただけだろ!」
「えー!じゃあ、僕がどうしても行かないといけないんですか?」
「ああ、悪いがお願いする。」
「しょうがないですね……。」
こうして、護衛のエズフはティムから不思議な石を預かり、王都まで持って行くことになった。


パカラッ!パカラッ!
エズフは馬を走らせる。
しばらくして、馬が疲れてきたようなので休ませる。
近くに川があるので、そこまで馬を引いて水を飲ませた。
ゴクゴク。ゴクゴク。
馬は余程喉が乾いていたのか、沢山飲んでいる。
自分も馬と同じように喉を潤した。
そして、また走り始める。



日が沈む頃に宿屋に着いた。
簡素な食事が出され、それを食べた。
そして、すぐ用意された部屋へ行きベッドへダイブした。



コケコッコー!
エズフは、鶏の声で起きた。
朝食には、パンの上に目玉焼きが乗っかったものが出た。
そして、飲み物には牛乳が出た。
エズフは朝冷たい牛乳を飲むとよく腹を壊すので、温めてほしいと頼んだ。
宿屋の人は、面倒くさそうにしながら温めてくれた。


泊めてくれたお礼を言い、宿屋をあとにした。