ティムが家でのんびりしていると護衛が慌てて現れた。
「ティム様ー!外交官のアベラード卿から手紙が来ましたよ!!なんでも、ティム様が持っている不思議な石を貸してほしいそうです。」
「前にも言ったが勝手に人の手紙を読むなよ……。」
「理由は、ハンプトン子爵令嬢と付き合っていた男性が別れてから急に金持ちになったそうで、どこからそんな大金を手にいれたのか調べるために使わせていただきたいそうです。」
「完全に俺の言葉は無視か!!って言うか、そんなことを調べるために大事な石を貸すわけないだろう!!」
「えーっ!?ちょっとぐらいなら貸してあげてもいいじゃないですかー!ケチですねー!」
「うるさいわ!!とにかく、貸せないもんは、貸せないんだよ!!」
「あっ!まだ続きが書いてありました。
P.S.
もし貸していただけるのであれば、私が外交で外国へ訪問した時には、ティム様の領地で製造されている玉ねぎのスープの素を宣伝させていただきます。」
「……易々とそんな取引には乗るもんか!」
ティムが吐き捨てる。
「あっ!まだ続きが書いてありました!
ティム様のお義父様には、ご了承いただいております。」
「えっ!?(゜ロ゜)」
ティムは、愕然とした。

結局、ティムはお義父さんが了承しているのに、自分が了承しないわけにはいかないので、渋々不思議な石を貸してやることにした。

一方、ティムのお義父さんは……。
「いやー、この間のお菓子はとても美味しかったよ!妻も喜んで食べていたよ!ありがとう!!」
「そうでしたか!喜んでいただけて嬉しいです!お店に二時間並んで買った甲斐がありましたよ!」
「えっ!?そんなに流行っているお菓子なのかい?」
「そうです。山吹色のお菓子と言って、今巷で流行っているんですよ。」
根回しをしっかりしておくアベラード卿であった。