「コーニエルさん、魔法を使った手品最高でしたよ!!」

「みんな、喜んでいましたよ!」

魔法を使った手品が終わったあとに、田中さんとアベラード卿がコーニエルに駆け寄る。

「そうか!それは良かった!」

コーニエルは、ニコニコしながら言った。

「昔は全然、火や水、電気の魔法を上手く使えなかったけどコツコツと練習した甲斐があったぜ!」

「えっ!?初めから魔法が使える訳じゃないんですか?」

「そりゃそうだろ!!魔術師だって色んな奴がいるんだよ!防御魔法が得意な奴とか、攻撃魔法が得意な奴とか色々いるんだよ!!」

「へぇー!そうなんですか!じゃあ、コーニエルさんはどんな魔法が得意なんですか?」

「えーと、俺はだなぁ……どちらかと言うと人を操ったり、眠らせたり、幻覚を見せたりするのが得意かな……。」

「めっちゃ陰湿じゃん!!」

「それを言うなよー!!悲しくなるわー!!」

「すいません、落ち込まないでください。ところで幻覚の魔法ってどんなんですか?」

「たいしたもんじゃないが、さっき帽子から鳩出しただろ?あの鳩が幻覚なんだよ。実際はいないんだよ。」

「へぇー!そうだったんですか!他にはどんな幻覚の魔法が使えるんですか?」

「……恥ずかしいが、鳩しか出せない。」

「マジですか……。」

「マジだよ……。あっ!!まだできる魔法あったわ!!えいっ!」

モクモクモク。

「ゴホッ!な、なんですか一体?」

辺り一面、煙が広がる。

「煙を出す魔法だよ。でも、この魔法、地味な割に魔力を使うから嫌なんだよなぁー。」

「この煙出すだけで、そんなに魔力を使うんですか!?それだったら、魚焼いて煙を出す方がよっぽど楽だし、魚も美味しく頂けますね……。」

「タナカさん、悔しいがその通りだ!!」



そんなやりとりをしていると、一人の女性が近づいてきた。

深い帽子を被っていて、顔は見えない。

「なんか俺たちに用か?」

「私のこと忘れちゃいましたか?」

そう言いながら、その女性は帽子を取った。

「あ、あなたはハンプトン子爵令嬢!?」

「そうよ。私、なーんにも悪いことしてないのに捕まって最悪だったわ。

コーニエルさん、あなたが私を操っていたそうね。しかも、偉い感じの人が来て私にその事は黙っていてくれと言われたわ。その代わり、冤罪にしてやるからと……。

おかしいと思わない?私は元から冤罪なのに、冤罪になるにはあなたに操られていたことを黙っていないといけないなんて!!酷いわ!!

スブルストとの関係が悪くなるからとか、私には関係ないのにーー!」

「本当に申し訳なかった!!俺もスブルストの国王に人質をとられていたんだ!!ああするしかなかったんだ!!」

「そうだとしても、私は名誉を傷つけられたわ!みんなからは、冤罪だと分かってからでも白い目で見られるし、最悪よ!!どうしてくれるのよ!!」