田中さんとアベラード卿は、スブルストに着いた。

アベラード卿はスブルストへ外交で何回か来たことがあり、魔術師の居場所を知っていた。

「魔術師は、この家に住んでいるよ。」

「案内していただき、ありがとうございます。」

コンコン!

「こんにちは。魔術師さんのお宅でしょうか?」

「シーン……」

「留守なんでしょうか?」

ガチャッ!

「!!鍵がかかっていないです。」

「一回、中の様子を見てみる?」

「はい。」







中は真っ暗だった。

「やっぱり、留守みたいですね。」

バターン!!

「えっ!?何??オロオロ」

コケッ!

「痛ったぁ……。もー!何につまずいたのよぉ……。」

足元を見ると、そこにはアベラード卿が倒れていた。

「アベラード卿!!しっかりしてください!!大丈夫ですか!?」

「ただ、眠っているだけだから安心しな。」

「!?あなたは……!!」

「お前たちが俺を探してるってことは真相に辿り着いたってことだろう?」

「あなたが魔術師ですね……。真相とはなんのことですか?」

「とぼけても無駄だ!!俺がこの国の王に雇われてハンプトン子爵令嬢を操って、お前の国の第一王子を間接的に殺そうとしたことだよ!!」

「!!やっぱり、ハンプトン子爵令嬢は、あなたが操っていたんですね!って、そんなことはどうでもいいんです!ただ、私は元の世界に帰りたいだけです!私は、日本という国がある世界からなぜだかこの世界に来てしまったんです!

だから、元の世界に帰してほしくて魔術師であるあなたに頼みに来ただけです!」

「そうなのか??

お前が別の世界から来たという話がもし本当だとしても、私はお前のいた世界に帰すような魔法は使えない。そこまでの魔力はない。」

「そんな……。一体、どうしたら元の世界に帰れるの……。」

「そんなことより真相を知ってしまった以上、お前を見逃すわけにはいかんな!!」

「え?ちょっと待ってください!!あなたが勝手にべらべらと喋っただけでしょうが!?」

「「知るかー!!」」

「「キャー!!」」

殺される!そう思った瞬間、辺り一面光が広がり、一瞬、光で辺りが真っ白になったかと思うと光は消えていき、辺りが見えるようになったかと思うと、目の前には一人の女性が立っていた。