「あのー、魔術師の方は現れましたか?」

宮廷の人事部に一人の女性が訪ねてきた。

「いや、まだ現れていませんよ。」

係の人が答えた。

「そうですか……。残念ですね。それでは、失礼しました。」

「あっ!少し、お待ちください!なぜ、魔術師が現れたかどうか聞かれたのですか?」

「……いや、別に何か理由があった訳ではなくて……ただ気になっただけです!!」

「……失礼ですが、あなたのお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「えっ!?名乗るほどの者ではございません!」

「……あなたは、この国の出身ですか?」

「違います。」

「出身はどこですか?」

「……日本です。」

「えっ?にほん?」

「はい。」

「聞いたことないですね。」

「だって、この世界には存在しませんから!!」

「は?」

「説明するのめんどくさいですが、私、あなた達が住んでる世界とは違うところから来たんです!」

「「えーーーーっ!!!」」

「それで、もし魔術師が現れたなら私を元の世界に帰してくれる魔法が使えるかなぁと思って、少し期待してここに訪れたんです!」

「そうでしたか……。だいたい分かりました。」←全然、分かっていない。