「えーん。えーん。なんでこんなことになってしまったのーー??」

ハンプトン子爵令嬢は、留置場で泣いていた。

「ここから出してよーー!!」

「うるさい!!静かにしろ!!」

看守が怒鳴った。

「キャーー!!こわーい!!お巡りさーん、助けてくださーい!!」

「警察に捕まえられたのに、その警察が助けてくれたらおかしいだろ!!」

「そっかぁー。納得!」

「それより、面会に来てくれてるぞ。」

「えっ!?誰だろ??」

面会に行ってみると、そこには女性がいた。

「あなたは?」

「私はカレンと申します。宮廷でメイドをやっています。」

「そうですか。一体、私になんの用なんですか?」

「実は、私が通報したんです。」

「えっ!?」

「あなたが柄の悪い連中と何か悪いことを企んでるのを偶々見てしまって、通報したんです。」

「そうだったの!?」

「ええ。あなたはティム様を狙ってたそうですね。だけど、なんでティム様を殺したかったか分からないそうですね。

どういうことですか?」

「そのまんまの意味よ。

いくら考えてもティム様を殺そうと思った動機が思い浮かばないのよ。確かに私自身が行動してやったことだというのは分かってるわ。

だけど、どうしてそんなことをしたのかまるで分からないのよ。まるで誰かに操られていたかのように……。」

「操られていた?」

「ええ。私のことをおかしいと思うかもしれないけれど、私、誰かに操られていた気がするわ。」

「人を操ることをできるのは、魔術師しかいないはずです。

しかし、魔術師はこの国にはいません。

隣国のスブルストに一人いるだけです。」

「じゃあ、きっとその人が私を操ったのよ。」

「そうだとしたら、大問題です。

仮にもティム様は、元王子です。あなたを操ってティム様を殺そうとしたのなら国際問題に発展します。」

「国際問題とかどうだっていいから、早く私をここから出してよー!」