「リリー、玉ねぎを隣町に売りに行かないか?」

「分かったわ。行きましょう!」

そうして、ティムとリリーは隣町に玉ねぎを売りに行くことになった。







「ふぅー、やっと隣町に着いたわね。玉ねぎを運んでくるのも大変ね。馬も疲れてるわ。」

「そうだね。お尻が痛くなったよ。」

「ところで、どうやって売るつもりなの?」

「うーん…とりあえず、訪問販売してみるか?」

「分かったわ!やってみましょう!」





トントン!

「ごめんくださーい!」

ドタドタ。

「はーい!はーい!ちょっと、待ってね!!」

ガチャッ。

「お待たせしたわね。」

「こんにちは!お忙しいところ、すいません。私たち、玉ねぎを販売している者なのですがいかがでしょうか?」

「うーん…玉ねぎは買い置きがあるし、いらないわ。ごめんなさいね。じゃ、忙しいから。」

パタンッ!



他の家にも訪問販売してみたが買ってくれなかった。

確かにそうだ。

玉ねぎは、どこにでも売ってるから特に珍しくもないので、買ってくれないのだ。

「残念だね。誰も買ってくれないな。」

「じゃあ、ここまで来て一個も売れないのも嫌だし、玉ねぎの叩き売りでもする?」

「…………。なんか、負けた気がする。それに、玉ねぎのケルセチンが活かされてないよ!」

「だけど、どうやってケルセチンを活かすって言うの?」

「うーん………。一旦、この件は持って帰ろう。考えても無駄だ。」

「そうね、帰って考えましょう。」

「悪かったね。考えなしで。」

「いいわよ。まだまだ、始まったばかりよ。すぐに結果がでるわけないじゃない。」

「ありがとう。慰めてくれて。」

ティムとリリーの信頼関係が生まれた。



玉ねぎが一個も売れなかったので、軽くならなくて馬だけが辛い思いをした。

「ヒヒーン……。」

馬は悲しい声をあげた。



そして、本邸に戻ってきた。

自分たちでは、なかなか良いアイディアが浮かばないので、メイドや執事にアイディアを出してもらうことにした。

そこで、執事からこんなアイディアが出た。

「玉ねぎのケルセチンが肌荒れやシミ、シワの予防になるので、それを活かしていくとすれば、特に美容に関心がある富裕層をターゲットにすれば良いのではないでしょうか?」

「そうか!その手があったか!じゃあ、さっそく金持ちの知り合いに勧めてみるよ!」

「ちょっと待ってください!慌てないでください!普通に美容に良いと言って、玉ねぎを持っていっても買ってくれませんよ!もう少し、知恵を使わないと!」

「えっ!どうやって?」

「例えば、玉ねぎをそのまま持っていくのではなくて、加工してから持っていくとかどうですか?」

「加工?」

「はい。加工することによって、手間はかかりますが、普通に売るよりも手間賃と言うことで値段は上げることができますし、なにより持ち運びに便利になります。

玉ねぎを乾燥させて、粉末状にし、それに調味料を加えて味付けをし、玉ねぎのスープの素として販売すれば良いのですよ!」

「なるほど!それは、良いアイディアだ!是非、今から、作ってみよう!アイディアを出してくれて、ありがとう!!」

「いえいえ。とんでもないです。お役に立てて嬉しいです。」

なんて、良い人なんだ!

やっぱり持つべきものは、執事だな!

こうして、またまた奮闘が始まった。