「ティム様、エズフさん、ペリゴール侯爵令嬢を助けていただき、ありがとうございました!!」
後で合流したアベラード卿達がティムとエズフにお礼を言った。
そして、ペリゴール侯爵令嬢はハンプトン子爵令嬢と田中さんと抱き合って、お互い涙を流していた。

しばらくすると、ハンプトン子爵令嬢がティムに話しかけてきた。
「ティム様、今更こんなことを言われても困ると思いますが、その節はご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ございませんでした。謝って許されることではないですが、謝らせてください。
本当は、私、王妃教育が思っていたより大変で、ついていくことができませんでした。そんな時に、自分に都合のいい甘い言葉をかけてくれる男性に出会ってしまって、私、王妃教育から逃げてしまいました。
だから、私、嘘をついていたんです。王妃教育についていけなくて、婚約解消してほしいとは恥ずかしくて言えなかったんです。
本当に申し訳ございませんでした。」
「そうだったのか。正直に話してくれてありがとう。だけど、済んだ話だ。この話はもうやめよう。」
こうして、ハンプトン子爵令嬢はティムに真実を告白した。




アベラード卿達がグラスターへ戻ってから、しばらくしてヴェロンバが田中さんのもとを訪れた。
「タナカさん、やっと魔力が回復したのよ♪これで、タナカさんを元の世界に帰すことができるわ♪」
「えっ!?本当ですか!?嬉しい!!やっと日本に帰れるんだ!!」
「ええ、日本に帰れるわ♪急に帰っても大丈夫なように、タナカさんが私が魔法で作った空間に間違えて入ってから数時間しか経っていない日本の時間へ飛ばしてあげる♪」
「えっ!?そんなことができるんですか!?つまり、どういうことですか!?」
「この世界でタナカさんが生活してきたことはタナカさん自身忘れないし、この世界の人達もタナカさんと一緒にいたことは忘れない。
それに、今までタナカさんがこの世界で行動してきたこと全部、タナカさんが日本へ帰ったとしても、そのままこの世界で反映されるわ。
だから、タナカさんがこの世界で色んな人を救ってきたことは嘘じゃない。幻ではないってこと!!
そして、タナカさんが元いた世界の人達は今、行方が分からなくなったタナカさんを必死に何年も探していると思うわ。
だから、タナカさんが私が魔法で作った空間に間違えて入ってから数時間しか経っていない時間へ飛ばしたら、別にタナカさんはみんなに心配されることもないでしょう?」
「ということは、私は何年もいなくなった状態じゃなくなるということですか?」
「そうよ♪それぐらいしないと、私のせいで巻き込まれてしまったタナカさんに悪いじゃないの。」
「そんなことができるんですね!!やったーー!!!ありがとうございます!!」


そして、みんなでお別れのパーティーを開いた。
「タナカさん、元の世界に戻っても私のこと忘れないでね!!ずっと友達だからね!!」
ハンプトン子爵令嬢が涙を流しながら言った。
「ええ、絶対忘れないわ!!アリア嬢とは一番の友達だわ!!」 

「身体に気をつけて!!元の世界で辛いことがあったら、いつでも私達の世界に帰ってこいよ!!」
「アベラード卿、少しは冗談を言うようになったんですね。」
田中さんが笑った。

「短い間だったけど、よくしてくれてありがとう!!タナカさんが元の世界に戻っても、明るく希望が溢れる生活を送れるように願うわ!!」
ペリゴール侯爵令嬢が言った。
「ありがとうございます!!私も皆さんがこれからも幸せな毎日を送れるように願っています!!」

そして、田中さんはヴェロンバの魔法によって元の世界に戻った。
「「お母さん、会いたかったよーー!!!」」
田中さんは家に帰り、母親に抱きついた。
「ちょっと、どうしたの!?」
田中さんの母親は驚いている。
「いいの、いいの、気にしないで♪」
田中さんはニコニコしながら言った。
「変な子ねぇー。」