「「いつから母親に歯向かうようになったのかしら!!どこで育て方を間違ってしまったの!?」」
王妃が騒いでいる。
「お母様、もうあきらめましょう。そもそも、バベット嬢という婚約者がいながら、レオナ嬢を好きになってしまった私が悪いのです。」
ティムはそこまで物分かりがいいなら、初めから婚約者を裏切るなよと思った。
まあ、婚約破棄騒動を起こしたティムが言える立場ではないが……。
何はともあれ、王妃も渋々納得した。
そして、カジミールは辺境の地で働きたいと志願した。
王妃は『もし敵が攻めてきたらどうするのよ!』と危ないから行くなと引き留めたが、カジミールは反対を押しきって一年間だけ勤務することになった。
王妃は最後まで反対したが、国王がなんとかなだめた。


カジミールを見て、ティムはもし自分が婚約破棄をしていなかったら、どうなっていたのだろうと考えた。
リリーとミリーにも出会わないことになる……。
今は二人はもう、かけがえのない存在だ。
二人に出会わない人生なんて信じられない!!
しかし、エマ殿下には悪いことをした。謝って許されるものではない。エマ殿下を裏切った罪は消えないのだろう……ああ……、気分が沈むからこんなことを考えるのは止めよう……。