カレンは、ティムのところに急いで行った。

「ハァハァ。」

「どうしたんだい。そんなに慌てて。」

「犯人がわかりました。ティム様の叔父様が犯人です!」

「「えーー!!?う、嘘でしょ!!??」」

「嘘じゃありません。」

「じゃあ、なんで叔父さんが犯人だってわかったの?」

「言葉で言うのは難しいので、実際にどうやって犯人が叔父様だとわかったか試してみますね。

ティム様、このワンワン民族の子供に貰った石をズボンのポケットにでも入れてください。

次に私と握手をしてくだい。」

ティムとカレンは、握手をした。

その瞬間、ティムの頭の中にこんな言葉が聞こえてきた。

(今日の晩御飯は城下町で流行りのお好み焼きにしようかな。出前でお城まで持ってきてもらえるから楽で良いわ。)

「えっ!!?こ、声が聞こえてきたぞ!!」

(ビックリしました?)

「ど、どういうことなんだ??」

(ワンワン民族の子供に貰った石を身に付けて、握手をすると相手の心の声が聞こえるようです。)

「「なんだって!!??」」

(握手をやめてください。私の心の声が聞こえなくなりますから。)

ティムとカレンは、握手をやめた。

「き、聞こえなくなった!!まさか、ワンワン民族の子供に貰った石にそんな力があったなんて!?」

「はい。私も、最初は驚きました。

ティム様に会いに行く途中で、ティム様の叔父様に偶然お会いしまして、私は捕まっているティム様を助ける協力をしてくださいとお願いしました。

叔父様は、快く協力するよとおっしゃってくれて握手を交わしました。

その時に、間抜けだなぁ。私が企てたというのになぁ。信用しちゃってんだから。笑えてくるよ。と、ティム様の叔父様の心の声が聞こえてきました。」

「そうなのか。まさか、叔父さんが犯人だったとは。だけど、なんで叔父さんがそんなことを企てたんだ?」

「私の勝手な想像ですが、国王陛下を毒殺してティム様を犯人に仕立てあげて、ティム様が死刑になる。すると、ティム様の弟様が国王になりますよね。

国民は、こんな若い国王に国を任せて大丈夫なのか不安がる。

国王につかえる人達も、不安がる。

ここで、ティム様の叔父様に出番がやってくる。

叔父様は自分こそが国王にふさわしいと訴えて、ティム様の弟様に刃向かって国王の座を奪って、自分が国王になる。

私の考え、どうでしょうか?」

「あり得ない話ではないな…。いや、むしろあり得える…。」

「ティム様の弟様が国王陛下を殺す動機がない。だって、普通に生活してたら、おのずと国王になるんだから。

だから、ティム様の弟様を犯人に仕立てあげにくい。

どうすればいいか?

そこにちょうど儀典官の代理で宮廷に来た、ティム様が現れた。ティム様は、本当は王位継承権第一位だった。しかし、国王陛下に半ば強制的に伯爵令嬢と結婚させられ、婿に行った。そして、王位継承権第二位となってしまい、国王になることは難しくなった。

ティム様の叔父様は、その逆恨みでティム様が国王陛下を毒殺しようとしたということにしてしまえばいいと考えたのでは?」

「ますます、あり得る話だな。

しかし、カレン、なんでそんなにすらすらと推理できるんだ?」

「私、最近推理小説にハマっているんです。

その推理小説は珍しく、犯人を読者にばらしていまして、犯人がどうやって犯行を行うか最初の描写に書いてあるんです。

探偵の主人公が犯人の残した証拠を手がかりに犯人を段々追い詰めていくのですが、読者は、最初から犯人がわかってるから追い詰められる犯人の様子が凄く面白いんですよ!!

ゴホン…。まあ、そんなことはどうでもいいのですが、毎回読んでいるうちに犯人の犯行のパターンもわかってくるんですよ。

だから、推理できました。

しかし、あくまでも推理小説の受け売りなので、あまり私の推理を真に受けないでください。」