「うーん、ペリゴール侯爵令嬢を助けてあげたいのだが……。」
ティムは暗い顔になった。
「「ティム様も助けてくれないのですか!!?」」」
アベラード卿は落胆した。
「いや……、そういう訳ではない……。ただ、私もレオルーノとの仲がこじれて戦争になるのが怖いと思ってな……。だが、戦争にならないようにレオルーノの王子を説得して、ペリゴール侯爵令嬢との結婚をあきらめさせることができれば良いのだがな……。」
「レオルーノの王子を説得ですか……。そもそも、王子に会わせてもらえるのだろうか?」
アベラード卿は考え込んだ。
「確かに、私達がレオルーノの王子と話し合いをするのは警戒されて難しそうだよな。どうすれば良いんだ……、うーん、あっ!?そうだ!!不思議な石を使えば良いんだよ!!」
「え!!?不思議な石!?しかし、石は盗賊に襲われて身ぐるみを剥がされて持ってないんじゃ……。」
「その石のことじゃないよ。マガリーヌ伯爵令嬢が使っていた不思議な石のことだ。あの石は、他の人に変身できるんだろ?その石を使ってペリゴール侯爵令嬢に変身するんだ。そしたら、王子と話できるだろ?」
「その考えは思いつかなかったです。」
アベラード卿が驚いた。
「「ティム様、見直しましたよーーー!!」」
エズフも感心した。
こうして、ティム達はマガリーヌ伯爵令嬢の祖父に不思議な石を悪用しないことを条件に貸してもらった。
「案外簡単に貸してもらえたな♪」
ティムは笑顔で言った。
「そうですね……。(第一王子が突然家へ訪ねてきて、石を貸してくれと言われたら断れないでしょ!!)」
アベラード卿は心の中でティムにツッコんだ。