ペリゴール侯爵令嬢は城下町で買い物をしていた。
「よし、欲しいものも買ったことだし帰ろう!」
そう言ってスキップをしながら帰っていると、物陰から人が現れてペリゴール侯爵令嬢に話しかけた。
「ペリゴール侯爵令嬢ですね?」
「……あなた…誰?」
「私はレオルーノの騎士です。王妃殿下のご命令であなたをレオルーノへ連れ戻しに来ました。」
騎士は淡々と言う。
「そっ、そんな!!?勝手よ!!私はここでの生活が気に入っているのよ!!あなたには悪いけど帰ってくれないかしら?」
「それはできません。王妃殿下に断られた場合には強制的にでも連れ戻すようにと仰せつかっておりますので、施行させていただきます。」
「「えっ!?ウソッ!?ちょっ、待ってっ!!」」
ペリゴール侯爵令嬢はあっという間に拘束されてしまった。
そして、声を出すことができないように布で口を塞いだ。
「「うー、うー、うー!!!(助けてー!!!)」」
騎士はペリゴール侯爵令嬢を用意していた馬車へ詰め込み、馬車を走らせた。




「遅いわねー。もう帰ってきていてもいい頃だと思うんだけど……。」
ハンプトン子爵令嬢はペリゴール侯爵令嬢の帰りが遅いので心配していた。
「もしかしてタナカさんの所にいるのかしら?」
ハンプトン子爵令嬢は田中さんの家を訪ねた。
「えっ!?ペリゴール侯爵令嬢は来ていないわよ。」
「「えっ!?そんな……!!??じゃあ、どこへ……。」」
「一体、どうしたの?」
「それが……ペリゴール侯爵令嬢が城下町へ買い物に行ったきり帰ってこないのよ……。」
「そんな……。えっと……、とりあえず城下町からアリア嬢の家までの道のりを辿ってみましょう!!」
「分かったわ。」
そして、城下町を出て途中の人気が少ない道の端にハンカチが落ちていた。
「これってペリゴール侯爵令嬢のハンカチじゃ……!?」
「歩いている途中でポケットから落ちたのかしら?」
「ポケットに入れたハンカチって普通にしてたら落ちたりしないと思うんだけど……。」
「確かに言われてみればそうよね。」
「ねぇ、見て!!ここに車輪の跡があるわ!馬車がここで停まっていたみたいね。」
「……もしかしてだけど、連れ去られたなんてことないわよね?」
「「そんな……!!?」」




ペリゴール侯爵令嬢と入れ違いになったという可能性に賭けて、ハンプトン子爵令嬢の家へ行ってみた。
しかし、ペリゴール侯爵令嬢は戻ってはいなかった。
そして、捜索願を出した。
すると、不審な馬車を見かけたという情報が入った。
目撃されたのは、丁度ペリゴール侯爵令嬢のハンカチが落ちていた場所だった。
そこで、不審な馬車が停まっていたそうだ。
「「やっぱり、その馬車で連れ去られたのよ!!!!」」
警察はその馬車を探しているが、まだ見つけられないでいる。
「どうすればいいの……?」
田中さんとハンプトン子爵令嬢も途方に暮れていた。
そんな時、アベラード卿が走り込んでやってきた。