「僕が変わらなきゃって思ったのはティム様のお陰さ。ティム様がいなかったら僕はずっと怠けていただろうな……。」
エズフが感慨深く言った。
「エズフをそこまで変えてしまうティム様って、かなりスゴくないか!?」
ギャラリーがザワつき始めた。
そんな時だった、バン!!とドアが開いた。
皆がそちらに注目すると、今噂をしていたティムが現れた。
「「ティム様!?なんでここに!?」」
「えっ!?地の文を追ってきたらここに辿り着いた。」
「チノブン?何ですかそれは?」
「セリフや会話文ではない文のことだ。いや、そんなことはどうでもいい。エズフ、一体何をしているんだ?」
「いや見たらわかるでしょう?こいつと剣の勝負しているんですよ。」

「へー、こんなところで剣の勝負なんかしていたんですか?」
ティムの背後から声がした。
その声を聞いて皆がゾッとした顔になった。

「ハー…ヴァル…殿下……。」
「どうしてみんな驚いているんですか?この部屋を許可なく使用し、剣の勝負をするなんて……私の方が驚きですよ。」
「おいおい、少しぐらい良いじゃないか!」
ティムがなだめる。
「いーや、そんなことありません!!剣の勝負は公式で行うものであり、非公式で行うものではありません!!これは宮廷騎士の規律に違反しますよ!!」
「そんな規律、規律って!少しぐらい、許してやれよ!」
「ここで許してしまったら、また同じことをする騎士も現れるかもしれないじゃないですか!!」
「厳しいなぁー、ハーヴァルは!」
「「何ですか、兄さん!!」」
ハーヴァルの眉間にシワができた。




「「ちょっと待ってください!!」」
エズフは叫んだ。
「「僕たちがこんなことを始めたから悪かったんです!!もうしません!!大変申し訳ございませんでした!!」」
そう言ってエズフは土下座をした。
そして、それを見たライアンも土下座をした。
「ちょっと待ってください!分かってくれたら良いんですよ!だから、土下座までしなくていいですよ!」
ハーヴァルは土下座までされるとは思わなくて慌てた。
そうして、エズフとライアンの剣の勝負はなくなった。