そして、ティムとエズフはやっと王都に辿り着いた。

「ふぅ、やっと着いたな。」
「はい、着きましたね。」
「カレンの結婚式にはまだ日にちがあるから、その間お城を宿屋代わりに使わせてもらおう。」

ティムが部屋でくつろいでいるとコン!コン!とドアをノックする音がした。
「兄さん、部屋に入ってもいいですか?」
「ハーヴァルか、入っていいよ。」
訪ねてきたのはティムの弟のハーヴァルだった。
「兄さん、盗賊に襲われたと聞きましたが大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」
「それから、エマから聞きましたがマガリーヌ伯爵令嬢が不思議な石の力を使ってエマに変身し、ハンプトン子爵令嬢を苛めていたそうですね。」
「ああ、私もアベラード卿から報告をもらったよ。」
「マガリーヌ伯爵令嬢の処罰ですが、エマになりすましていたので死刑にしようと思ったのですが、マガリーヌ伯爵令嬢も反省していることだし、教会で奉仕活動をすることを処罰にしようとエマが言っているのですが兄さんはどうしたいですか?」
「そうなのか。私もエマ殿下の意見に賛成だ。」
「そうですか、兄さんもそういうなら仕方ないですね。」
「それから、ハンプトン子爵令嬢もその処罰で納得しているのか?」
「はい、ハンプトン子爵令嬢もその処罰で納得しています。」
「そうか。ところで、不思議な石はどうなったんだ?」
「不思議な石は元々、マガリーヌ伯爵令嬢の祖父の持ち物なのでマガリーヌ伯爵令嬢の祖父がこれからは、金庫に入れて盗まれないように厳重に保管するそうです。」
「そうか。しかし、なんでマガリーヌ伯爵令嬢の祖父が不思議な石を持っていたんだ?」
「なんでも、珍しい物を収集するのが趣味で、なんかよく分からないけど珍しい石だと聞いて高額な値段で旅商人から購入したそうですよ。」
「もしそれがタダのそこら辺に転がっている石だったらどうしてたんだよ。」
「大損してましたね。まあ、お金のことは気にしてないみたいですが……。しかし、もしタダの石だったらこんなことにはならなかったのですが……。」
「そうだな……。不思議な石は良いようにも悪いようにも使えるから、持ち主の使い方次第ってことだな。」