「えっ!?あなたが!?」
「あの時は申し訳なかった。親友を人質に取られていて、ハンプトン子爵令嬢を操って間接的に殺すように命令されていたんだ。だからと言って、許されることではないが……。」
「その話は報告を受けているが、そんな私を殺そうとしていた人に助けられるなんてな……。」




エズフはコーニエルから話を聞き終えた。
「そうだ!ティム様を殺そうとしていた魔術師じゃないか!!手品をしていた魔術師だなんて浮かれてる場合じゃないや!!ティム様、こいつをどうしてやりますか!?」
エズフの態度がコロッと変わった。
「うーん、そうだな……じゃあ、手品を見せてください。それで許してあげます。」
「本当か!?恩に着るぜ!!ありがとう!!」
「えっ!?ティム様、それは甘すぎますよ!!」
「じゃあ、どうしろと言うんだ?」
「それは……」
「それは?」
ゴクリ(゚A゚;)



「僕達もホウキに乗せてもらいましょうよ!!」
ズゴッ!
「何を言っているんだ!?」
「魔術師がホウキに乗って配達の仕事をする小説を読んだんですよ。それを読んだら僕もホウキに乗って空を飛び回りたいなぁと思いまして。」
「珍しく本を読んでいるなぁと思っていたら、そんなものを読んでいたのか。」
「そんなものとは何ですか!!あの小説には夢がいっぱい詰まっています!最近、巷で人気なんですよ!」
「そうなのか。じゃあ、私にも貸してくれ。」
「良いですよ。」
そうして、ティムとエズフはコーニエルにホウキへ乗せてもらった。


「楽しかったです!ありがとうございました!」
「そんなことくらいお安いご用だ!それにしても、魔術師が活躍する小説が流行るなんて昔では考えられなかったことだ。その小説のお陰で魔術師のイメージが良くなってくれて良かった!」
こうして、ティム達はコーニエルと別れた。
その夜、ティムはさっそくエズフに小説を借りた。
「ふーん、ヴェロンバという女性作家が書いているのか。」
ティムはそう呟いて小説を開いた。