「不思議な石を使ってマガリーヌ伯爵令嬢が変身していたというのは分かったが、なぜ同級生になりすまして夫婦の仲をこじらせるようなことをしたんだ?」
「それは羨ましかったからよ!!私はアクスルと婚約解消したのに同級生が結婚して幸せそうにしているのが許せなかったのよ!!」
「それだけの理由でそんなことをしたのか!?」
「そっ、それだけの理由ってなによー!!!ひっどーいっ!!!!それに最初はそんなことするつもりはなかったのよ……。」
「じゃあ、きっかけはなんだったんだ?」
「それは………」
マガリーヌ伯爵令嬢は話し始めた。




マガリーヌ伯爵令嬢は不思議な石の力で変身できることを知って、だからと言って何かをすることはなかった。
謹慎期間が終わり、再び学園へ通い始めた。
マガリーヌ伯爵令嬢は真面目に勉学に取り組んでいた。
しかし、アクスルとはあの日以来会話をしていない。
そして、アクスルとは婚約解消をまだ正式にはしていない。
『まだ望みはあるかもしれない!』
そう思い、マガリーヌ伯爵令嬢はアクスルに声をかけた。
「あの……、話があるの!!」
「何?」
「私、婚約解消するなんて認めたくない!!」
「私だってこんな決断はしたくなかったよ……。だけど、ジュリー嬢が心を改めるように心を鬼にしてやったんだよ。」
「そんな……。」
「それから、これから私と関わるのはあまりよくないと思う。私のことは忘れてくれ!」
アクスルは真剣な表情をしてマガリーヌ伯爵令嬢へ言った。
「どういうこと?」
「このことはジュリー嬢だから言うが、私のお父様の会社の経営状態が良くないんだよ。」
「そうなの!?」
「109人リストラする予定だそうだ。」
「それなら、私がお祖父様に頼んでお金を支援するわよ!!」
「それが私にとっては辛いんだよ。今までだって、何回も支援してもらったじゃないか……。もうこれ以上ジュリー嬢の家族に迷惑をかけるわけにもいかない。だから、そういうことも含めた上で婚約解消してくれ!!」
「そんなこと気にしないで!私、アクスルのことが好きなの!!」
「私だってジュリー嬢のことが好きだよ。……だけど、このままでは私達は何も変われないまま終わっていくのかもしれない。……そうなっては、いけないんだ。だから、婚約解消してくれ!!」

マガリーヌ伯爵令嬢はアクスルが変わろうとしていることが分かった。
だけど、マガリーヌ伯爵令嬢にとってはとても辛いことだった。
「このままでも良いのに……。」















ほどなくして、マガリーヌ伯爵令嬢とアクスルは正式に婚約解消をした。
マガリーヌ伯爵令嬢はアクスルと婚約解消したことをなかなか受け入れられなかった。
どこまでもこの愛が続くと思っていたから。
しかし、親はもうマガリーヌ伯爵令嬢の新しい婚約者を探しているようだった。
そんなことが許せなくて、マガリーヌ伯爵令嬢はイライラしていた。
そんなある日、廊下でハンプトン子爵令嬢とすれ違った。
その時、マガリーヌ伯爵令嬢はハンプトン子爵令嬢が全て悪いのだと思った。
ハンプトン子爵令嬢のせいで、自宅謹慎になってアクスルと婚約解消することになったのだと考えることにした。
そして、マガリーヌ伯爵令嬢は不思議な石を使ってハンプトン子爵令嬢を苛めることにした。

「「苛めることにしたってなんでそーなるのよ!!私、逆恨みされたってことよね??信じらんないんだけど!?」」
ハンプトン子爵令嬢は全力でツッコんだ。