マガリーヌ伯爵令嬢は、白状した。
全ての発端は学園生活から始まった。
ハンプトン子爵令嬢を苛めていたのが見つかって、一ヶ月の自宅謹慎をしていた時だ。
「何で、この私が自宅謹慎なんてしなきゃいけないのよー!!ちょっと突き飛ばしただけなのに!!!………………それにしても暇だわ。何か面白いものないかしら?そうだわ!!」
マガリーヌ伯爵令嬢は祖父が色んな珍しい物を収集して、一番右奥の部屋にしまっているのを知っていた。
「あそこには、面白いものがありそうだわ♪お祖父様には入ってはいけないって言われてるけど、ちょっとくらいなら良いわよね……。」
マガリーヌ伯爵令嬢は、好奇心を押さえることができず入ってしまった。

「うゎー!!凄いわー!!こんなに沢山収集してるなんて……。この壺なんて凄く高そうだわ!!あっ!!こっちのお皿カラフルだわ!!あっ!!この本、見たことない字だわ!何語だろう?……ん?この小さな箱に入っているのなんだろう?ちょっと開けてみよーと♪」
開けてみると石が入っていた。
「なーんだ、ただの石じゃない。でも、何でこんな石を大事に箱に入れてるのかしら?」
マガリーヌ伯爵令嬢は不思議に思い、石を手に取ってみた。
「「コラー!!!何をしているんだ!!!この部屋には入るなと言っていたはずだ!!!」」
「きゃっ!!お祖父様!?もっも、申し訳ございません!!すぐに出ていきます。」
マガリーヌ伯爵令嬢は驚いて部屋から飛び出した。



「あーあ、暇だわー。…………………そうだわ!!アクスルに会いに行きましょう♪もう、家に帰ってきているはずよね♪」
マガリーヌ伯爵令嬢は、家のものに見つからないように、こそこそと婚約者のアクスルに会いに行った。
「ジュリー嬢、どうしたんだい!?君は確かハンプトン子爵令嬢を苛めて、自宅謹慎してるんじゃなかったのか?」
「苛めたなんて、大げさよー。ちょっと注意してあげただけなのよー。だから、自宅謹慎でもちょっと出るぐらい許されるわよ♪」
「…………。」
「あら?どうしたの?気難しい顔して?」
「ジュリー嬢、私と別れてほしいんだ。」
「えっ……!?どういうこと??」
「私と婚約解消してほしいんだ。」
「冗談でしょ?」
「冗談じゃないんだ。ごめん。」
「どうしてなの!?」
「自宅謹慎は、反省するためにあるんだ。なのに、勝手に自分のルールで外を出たりするなんてダメだよ!!それに、注意するのにハンプトン子爵令嬢を突き飛ばすまでしなくてもいいだろう!!そんな人とは付き合えないよ!!」
マガリーヌ伯爵令嬢はショックを受けた。
アクスルとは6歳の頃から婚約していて、とても仲が良く、ケンカをすることもあったがいつもすぐに仲直りする間柄だったからだ。
「何でっ……、何でっ……!!!」
ポタッ。ポタッ。
「どうしてっ……、どうしてっ……!!!!」
ポタッ。ポタッ。
「私がこんなことになるのっ!!!!!」
マガリーヌ伯爵令嬢は行き先も考えずに走った。
「「きゃっ!?」」
つまずいて、こけた。
グッと砂利を掴んだ。
奥歯を噛みしめた。
「わ…私がっ、ハンプトン子爵令嬢を苛めたから、こんなことになったって言うの!?私はただ、ハンプトン子爵令嬢が羨ましかっただけなのにっ!!!私もハンプトン子爵令嬢みたいに…可愛かったらっ!!!」
その瞬間、体に違和感を感じた。
頭が軽くなったような気がした。
髪の毛を触った。
「えっ??髪の毛が短くなってる?ウソッ!?どっ…どうして!?」
手鏡を取り出して、見た。
「「!?」」
マガリーヌ伯爵令嬢はハンプトン子爵令嬢になっていた。
「訳がわからないわ……。これは夢よ……。」
試しに、頬をツネってみた。
「痛っ!……………え?これって夢じゃないの!?」
足が震えた。
「いいえ!落ち着こう、私!!そんなはずないわ!!鏡でもう一回、しっかり見るのよ!」
やはり、ハンプトン子爵令嬢だ。
「おかしいわねー。この鏡、壊れてるのかしら……?いや、鏡が壊れてるからハンプトン子爵令嬢に見えるとか、あり得ないから!落ち着け、私!!…………………やっぱり、私はハンプトン子爵令嬢になってるってことね。私の姿に戻りたい……。」
その瞬間、またマガリーヌ伯爵令嬢は体に違和感を感じた。
「「?!」」
もしかして!!
マガリーヌ伯爵令嬢は素早く鏡で見た。
「「元の私に戻ってる!!!だけど、どうしてこうなったの?そう言えば、あの時ハンプトン子爵令嬢になりたいって思ってたわ。もしかして……。」」



マガリーヌ伯爵令嬢は確信が持てなかったが、試してみることにした。
『ハンプトン子爵令嬢になりたい!』そう心の中で唱えた。
すると、マガリーヌ伯爵令嬢はハンプトン子爵令嬢になった。
「「やっぱり!!」」
今度は『自分に戻りたい!!』と唱えた。
すると、マガリーヌ伯爵令嬢に戻っていた。
マガリーヌ伯爵令嬢は変身できるようになっていた。