「犯人を突き止めたいけど、今日はもう疲れたから帰ってゆっくり休むわ。」

ハンプトン子爵令嬢の言葉に田中さんもアベラード卿も頷いて、解散した。



そして、次の日。



アベラード卿は仕事が終わり、家へ帰る途中でハンプトン子爵令嬢に呼び止められた。

「どうしたんだ!?」

「ごめんなさい。急に……。だけど、どうしても言わなきゃと思って……。」

「何を……?」

「私と別れて欲しいの!!!」

「えっ……。」

「私、あなたのことが好きじゃなくなったの!!」

「……。」

「こんなこと急に言われてショックだろうけど、お願いだから私と別れて欲しいの!!」

「……。」

「ショックで喋れないのね……。」

「いや……、別にそういうわけじゃない。アリア嬢がそんなことを言うわけないから、君が誰なのか考えていたのさ。」

「えっ!?」

「君、一体誰だい?」

「……どうして分かったの?」

「それは、私はアリア嬢と付き合っていないからだ。」

「ウソ!?昨日、付き合っているって言って……あっ…ヤバッ!?」

「……君、マガリーヌ伯爵令嬢だな!!」

「えっ!?ちょっ…何を言って!?」

「シラを切るな!昨日、私とアリア嬢が付き合っている話をマガリーヌ伯爵令嬢も聞いていた。だから、アリア嬢になりすましている君はマガリーヌ伯爵令嬢だ!!」

「「えっ!?どういうこと!?どうして!?」」

「訳があって付き合っていることになっているが、実はアリア嬢とは付き合っていない。

なのに、別れようと言ってくるから、アリア嬢ではないと気づいたんだ。

そして、『昨日、付き合ってると言って……あっ…ヤバッ!?』という言葉で、私とアリア嬢が付き合っている話を昨日した時に一緒にいたマガリーヌ伯爵令嬢だと気づいたんだ。」

「そ、そんなぁ~。」