ガラガラッ!
「失礼します!!」
医務室にティムが慌てて入ってきた。
「ハンプトン子爵令嬢は、大丈夫ですか!?」
「ティム殿下!?ええ、ハンプトン子爵令嬢は先ほど目を覚ましたところですよ。」
「ティム殿下、私は大丈夫ですよ。心配していただきありがとうございます。」
ハンプトン子爵令嬢が答えた。
「良かった。突き飛ばされて気を失ったと聞いたから、ビックリしたよ。」
「もう大丈夫です。私のことは気にしないでください。」
「気にするよ。
目撃した生徒から聞いたが、令嬢達は私と君が何気ない会話をしていることに腹を立てて、突き飛ばしたそうじゃないか。」
「はい……。」
「そんなことで突き飛ばすなんて、信じられない!!」
「多分、あの令嬢達は以前から私が気に食わなかったんだと思います。」
「気に食わないからと言って、突き飛ばして良いわけないだろ!?」
「まぁ、その通りですよね……。それから、私、身分をわきまえなさいと言われて、口答えしてしまったんですよ。それも良くなかったのかもしれないですね……。」
「なぜ君が反省しているんだ。悪いのは、向こうの方だろ!?」
「ティム殿下にそこまで怒っていただいて、嬉しいです。ありがとうございます。もう、それだけで充分です。」
「……。」
ティムは、何も言わず拳を握りしめていた。