ティムは放課後、補習をさせられていた。

「くっそう!!なんでこんなことをしなくてはいけないんだ!!」

「仕方ないですよ。一日休んだ分、ちゃんと勉強してくださいね。

私もティム殿下の手伝いをしたい気持ちは山々ですが、手伝ってしまうとティム殿下の為にはならないので、私は一足先に帰らせていただきます。」

「ちょっと待て!!そんなこと言って、お前は勉強がそんなに得意じゃないから逃げる気だろう!?」

「ち、ち、ち、違いますよっ!!何言ってるんですか!?そんなこと、あるわけないでしょっ!?

あー、早く帰って剣術の稽古しないと!!あー、忙しい、忙しい!!」

と言って、従者は白々しく帰っていった。







「全く!!あいつは、いっつもこういう時は逃げていくよな……。」

ガラララ。

教室のドアが開いた。

「あっ!!やっぱり手伝いに戻ってきてくれたのか!!」

「えっ!?何を言って……!?あなたはティム殿下!?なぜここに!?」

教室に従者が手伝いに戻ってきてくれたのかと期待したが、やってきたのは同級生のハンプトン子爵令嬢だった。

「私は見ての通り補習をしているんだよ。」

「ああ……!!そうでしたね!!私も補習に来たんだった!!ティム殿下も昨日休まれていたのでしたね。

た……体調の方はもう大丈夫なのですか!?」

「ああ、心配してくれてありがとう。私はもう、なんともないよ。」

「良かったです。わ……私も、昨日お休みを頂いていたのです。」

「そうだったのか……。なんで休んだんだ?」

「えーと、実は、とぉーても言いたくないことなんですけど、いずれはみんなにもバレることだろうし言っちゃっても良いと思うんですが、まだ誰にも言ってないし、言わないでおこうかなぁ……。」

「おい!!そこまで言っておいて、言わないとかないだろ!!めっちゃ気になるわ!!」

「うーん……。じゃあ、特別にティム殿下に教えてあげます。実は私、婚約者にフラれてしまって、ショックで一日中寝込んでいたのです。」

「そうだったのか……。それは、お気の毒に……。」

ティムはこれ以上何も聞かないでおこうと思ったが、あちらから話をしてきた。

「私の婚約者ったら、私が何気なく同級生と喋っていたら後で、あの男と一体何を喋っていたんだとか聞いてきたり、たまたま同級生とぶつかっただけでさっき、あの男に触れていただろうとか言ってくるんですよぉー!!そのくせ、自分は令嬢と喋ったり楽しくしてるんだから!!

それで、とうとう私の我慢の限界でケンカしちゃって、私、婚約者にすぐに謝ったんだけど許してもらえなくて、婚約破棄されちゃったんですよぉー!!

酷くないですかーーーー!!!!うぇーん!!!」



めっちゃ泣いとるがな……。どうしたらいいんだ……。こんなことになるんだったら、休んだ理由を聞かなきゃ良かったな……。



「私が悪かった。言いたくないこと言わせてしまって。許してくれ!!だから、泣き止んでくれ!!頼むからー!!」

これじゃあ、勉強にならんわ!!

若干、ティムはイラついた。

「ひっく、えっぐ。ごめんなさい、ティム殿下。泣くの我慢できなくて……。だけど、もう大丈夫です。さあ、私のことは気にせずに勉強してください。」

気にするわ!!とティムは心の中でツッコんだ。