それは生チョコ仕立てであり、有名なパティシエが監修した高級チョコである。表面に降ってある白いパウダーは粉雪のようだ。
 まさに、冬の道端の、野グソである。

 僕はその、大変にリアルなものを凝視した。
 今日見たあの子の顔立ち、ストッキングのほつれなどを鮮明に思い出した。

 「良かったら付き合ってください。真奈美」

 カードの丸い文字をじっくりと何度も読み、それからもう一度、箱に収まっている一本グソを眺め。

 (真奈美ちゃんも、こういうのするのかなあ)

 と、そんなことを考えたのだった。