その日、俺は部室に寄らずに、家に直行した。
 部室に行けば四方河が大量のチョコをおごってくれることは分かっている。
 だが今日ばかりは、初めての戦利品をしみじみと味わいたかったのだ。

 自室に入り、落ち着いてから、おもむろに貰ったチョコの包みを机に乗せる。
 ピンクの包み紙に赤いリボン。小さな箱だ。
 メッセージカードをリボンから引き抜く。くまちゃんの形のカードである。

 「ずっと好きでした。良かったら付き合ってください。真奈美」

 とあり、連絡先が書いてある。
 ええ付き合いますともどこでも参りますともと鼻の穴を膨らませ、服を脱がせるがごとく、優しく丁寧にリボンをほどき、包み紙を外した。

 高級そうな小さな箱を開くと、ふわふわのラメが入った綺麗な緩衝材の中に、燦然と、輝くような、ものすごくリアルな一本グソが入っていたのだった。

 でーん。