誰もいない空き教室に連れてこられると、リョウスケは俺を強く睨みつける。

あまりに怒っているものだから俺はたじりながらリョウスケの目を見つめ返す。

少し考える素振りを見せたあと、リョウスケは低い声を発し口を開いた。


「攻略対象に攻略されてどうする」

「……は?」


攻略対象に攻略される? 誰が? 俺が?

イケメンのこの俺が誰かに、よりよって地味子系女子である村崎 姫那に逆攻略されるだと?

リョウスケの言っている意味がわからず、俺は首を傾げる。

リョウスケは大きくため息をつくと、俺の肩を叩き、爪を立てて睨んできた。


「お前は、村崎 姫那に恋してる」

「いやいやいや! イケメンが誰かに恋するっておかしいだろ!」

「彼女は攻略対象だ! お前が惚れてどうする!」


俺たちの目的はモテること。

決して恋をすることではない。

彼女の好意を得、彼女に想われるのを知りながら手のひらで好意を転がす。

それがモテる男であり、イケメンの余裕というものだ。

その目的を誰よりも自覚している俺はリョウスケの言葉を否定し、肩に乗せられた手を振り払った。