次の日、俺は迷わず彼女のもとへ行き、朝の挨拶をする。


「おはよう、村崎さん」


爽やかに笑う俺。イケメンだ。

一方彼女はゲンナリとした顔をしてズレた眼鏡を直すと、顔を逸らして本に目を向ける。

前髪で隠れて目が良く見えないがちゃんと読めているのであろうか。

俺は無意識に手を伸ばして彼女の前髪をかきあげる。

その一瞬、見えた大きな瞳に俺は目を見開き、硬直する。

すぐさま彼女は俺の手を振り払い、顔を赤くして手の甲で顔を隠す。

そんな彼女を見て俺もまた恥ずかしくなって目をそらす。

パッチリとした丸い大きな瞳は、星が瞬くようにキラキラと輝いていて綺麗だった。


「……かわいい」

「え……」


ポツリと漏らした言葉は俺の素直な気持ちであった。


「隠さない方がいい。村崎さん、かわいい」

「何言って……」

「前髪も眼鏡も邪魔。笑った顔、見てみたい」


手を伸ばして彼女の眼鏡を取ろうとする。

だが彼女は勢いよく立ち上がり、本を置いて教室の外へと飛び出していく。

追いかけることも出来ず、ザワザワと騒がしくなり始めた教室で俺は一人取り残される。

机の上に残された本に目を向け、そして頭を抱えて反省する。

あまりにもストレートに褒めすぎてむず痒がった。

でもそれだけ彼女の姿はかわいらしく、褒めずにはいられなかった。