「RAGって、曲も意外といいのね」

 会社の給湯室でのこと。普段はあまり話したことのない先輩に唐突に言われ、わたしの背筋はピンと跳ね上がった。RAGアンテナは今日も絶好調だ。

「意外とじゃなくて! いいんです最高なんですよ!」
「ちょっとその熱量はついていけないけど」
「どの曲聞いてくれたんですか!?」

 いやいや。聞いてくれたんですかって、わたし誰目線? それでも思わずこんなセリフが飛び出してしまうわたしの気持ち、オタクの皆さんならば分かってくれることでしょう。
 先輩は「分かった分かった」と手を振ると、くるりとわたしに背を向けた。しかし数歩いった所で立ち止まり、首だけこちらの方へと戻す。

「今度コンサートある時、教えてくれる?」

 それってつまり──。

「ありがとうございます!!」

 先輩がRAGのコンサートに興味を持ってくれた! どうしようすごく嬉しい!! うん、だから誰目線だっていうのは分かってるんだけど。

 日々わたしはRAGの布教活動に努めている。とは言ってもわたしがRAGファンであることは、この小さな会社内では誰もが知っているところであり、RAGについてのネタがあるとみんなが声をかけてくれるという優しい職場だ。コンサートの日は有給をとらせてくれるし、そういった事情に理解がある。プライベートを大切にという社長の考えだ。