「おじゃまー」
「どーぞー! 見てみて、ブルーレイプレイヤー新調しましたっ!」
「お、いいじゃーん! わたしこの間のバラエティ焼いたの持って来たよ」
「やったー! いやはや、今夜は寝れませんな」
「明日も休みだし、オールRAGしちゃいましょーっ!」


 楽しみにしていた週末がとうとうやって来た。この一週間、今日という日を楽しみに仕事を乗り切ったと言っても過言ではない。
 リビングへと入ってきたユーミンは、大きなお泊りバッグから続々とブルーレイや雑誌を取り出した。次いで登場したのは、アキラくんの笑顔がでかでかと印刷されたうちわだ。これは確か去年のコンサートの時のものだったような気がする。コンサートがある度にアップデートされるので、我が家にはいくつものぎゅうちゃんうちわが存在する。たまに取り出して眺めるという楽しみ方が出来るのはもちろん、エアコンが壊れたり省エネが叫ばれる夏には大活躍してくれるはずなので、これはエコグッズでもある。

「そーれーかーらっ!」

 ユーミンは大げさに間を取りながら、大きな箱を紙袋から取り出しテーブルの上に置く。そのまま箱をスライドさせると、大きなホールケーキが現れたのだ。

「ハッピーバースデートゥーユー!」

 ──そう、今日はわたしの誕生日。

「ユーミン~~~!!」

 思わず目を潤ませると、彼女は大きく腕を広げた。そこに勢いよく飛び込んだわたしの頭を、ユーミンはよしよしと優しく撫でる。
 滲んだ涙にはいくつもの理由がある。純粋に彼女の優しさが嬉しかったから。誕生日という特別な日を、恋人にドタキャンされてしまったから。それでもやっぱり恵まれているなと実感できたから。

 もしもRAGと出会っていなければ、わたしは今日という日をたった一人で寂しく過ごしていたかもしれない。自分よりも仕事を優先した恋人を恨めしく思い、じとじとしながら部屋の隅で苔を育てていたかもしれない。
 ユーミンとの出会いもRAGがもたらしてくれたものだ。彼らのおかげでわたしの毎日は、前よりもっと楽しくなった。RAGがいるから、辛いことや悲しいことがあっても頑張れる。RAGがいるから日々がキラキラと輝いて見える。

 RAGは、そしてぎゅうちゃんは、わたしのパワーの源なのだ。