「すみません、デザート追加したいんですけど」

 何年振りかのファミレスの味を、なんだかんだ言いながら俺は楽しんだ。注文したチーズハンバーグはやたらとうまくって、ライスをおかわりまでしてしまったくらい。ファミレスってこんなにうまかったっけ? レベル上がった? ちなみにフリードリンクだって既に三杯目である。
 彼女はローストビーフ丼をぺろりと完食すると、テーブルのボタンを押して店員を呼び出した。

「デザートも食うの? 太るぞ」

 ぼそりとそう言っても彼女はそんなこと気にもしない。聞こえていないわけじゃない。これは、無視だ。

「ナタデココふたつください。ぎゅ……えっと……ウッシーも食べるでしょ?」
「……ウッシー……?」

 彼女は俺に向かって、シッというような表情を見せてから「それでお願いします」と店員に丁寧に頭を下げた。

「なんだよ、ウッシーって。超絶ださいんですけど」

 店員がピピッとハンディを打って背を向けたのと同時に俺は文句を言う。

「ぎゅうちゃんなんて言ったらバレちゃうでしょ!」
「いやそっちが平気だって豪語したくせに。てかナタデココなんて俺いらないから」

 名前こそ聞いたことはあるものの、人の食い物とは思えないビジュアルを持つ得体の知れないあの物体。すると彼女は目を見開いて頭を抱えた。

「食べたことないの……? あんなに美味しいものを……?」

 信じられない、という表情で彼女はそう言う。前から思ってたんだけど、この人本当にいつも大げさなんだよな。今度からエンターテイナーって呼んでやろう。

 ぷるぷるしていて、濁っていて、なんだかクラゲみたいな四角いあいつ。一体何で出来てるわけ? 誰が一番最初にあんなもん食ってみようって思ったわけ?

 しかしながら、悔しいことに彼女の言うことは正しかったのである。