「ぎゅうちゃん……やっばかった……」
「アキラと結婚する……わたし……」
「はあ……ぎゅうちゃん尊い……」
「アキラに出会うために生まれてきた……」

 はぁ~っ! とふたりで深いため息を吐く。

 サイン会を無事に終えたわたしたちは、会場の外のベンチに腰を下ろしてしばし放心状態。さっきまでの出来事は夢だったのではなかろうかと言うほどに、それはあっという間で儚い時間だった。

「なんかさぁ、みんな疲れているだろうに、すっごく笑顔で迎えてくれたよねぇ」
「分かる。何百人もの相手するんだもの、わたしなら顔に疲れが出ちゃうよ」
「でもきっと、三人とも本当にありがとう、って思ってくれてるの伝わってくるよね」
「そうなのよ、そこなの。RAGはお仕事って感じじゃなくて、ちゃんとわたしたちと向き合ってくれてる」
「アイドルってすごいよねぇ……」
「本当、すごいのよ……」

 興奮の後にやって来るのは賢者タイム。これはすなわち、やたらと頭が冷静になって物事を分析し始めるという古参ファン──ファン歴と共に現実的な年齢の意味でもある──に多く見られる傾向である。

「「──すき」」

 まあ、結果は全部このひとことに尽きるんだけどね。


 このあとお腹を空かせたわたしは軽く飲みに行きつけのダイニングバーへ、ユーミンはアキラくんの出るラジオがあるからと家へ帰っていった。