──それでは、理想の女性像を教えてもらえますか?

アキラ:そうですね、僕は落ち着いている女性が理想です。地に足がついているというか。こういう仕事をしていると、どうしても世間一般的なことから取り残されてしまう感覚に陥ることがあります。そういう時、「そうじゃないよ」と引き戻してくれるような、そんな女性がいいですね。

亮輔:僕は絶対に、明るい女性がいいです! たくさん笑って、たくさん食べて、たくさん話をしてくれる人がいい。一緒にいて楽しいのが一番だと思います。

──とても亮輔さんっぽい回答ですね。

アキラ:それ、亮輔の女バージョンじゃん。亮輔がふたりもいたらうるさくてたまったもんじゃないな。

GYU:勘弁してほしい。

亮輔:えー!? ふたりともひどくない!? 絶対毎日楽しいじゃん!

──本当に三人は仲が良いんですね(笑)それでは、GYUさんの理想の女性は?

GYU:僕の理想の女性像は、マチルダですね。

──マチルダ? 映画『サブリミナル』のヒロインですか?

GYU:はい。彼女のように強くて、そして揺らがない愛情を持っている人がいいです。





 今日発売のファッション雑誌RARE。大きな特集記事が組まれるということで、ここへ来る前に本屋で調達してきたものだ。なるほど確かに、何枚もの素晴らしいショットはもちろんのこと、インタビュー記事も充実の内容だ。メンバーの好みの女性象を聞いてくれるというのは、ファン心理を非常によく理解していると思う。金一封差し上げたい。

 ぱさりと雑誌から顔をあげる。正面にある大きな鏡には、黒のクロスからひょこりと頭だけ出ている自分の姿。大事に大事に伸ばしてきたロングヘアの上で、カットの仕上げとして鋏を躍らせている美容師さんが満足気に頷いた。

「……マチルダにならなきゃ……」
「はい?」
「……やっぱり今日は! マチルダカットに! してくださいっ!」

 マチルダカット──すなわちそれは、顎あたりでぱつんと切りそろえたボブスタイルである。

 なんていうのはもちろん美容師さんにすぐに伝わるはずもなく。ひとつの仕事を終えようとしていた美容師さんにひたすらに頭を下げたわたしは、あっという間に『大事に大事に伸ばしてきた』はずのロングヘアに別れを告げた。


 女は髪が命だとか
 ロングヘアは女性の憧れだとか
 長いほうがアレンジも出来て楽しいだとか
 せっかく伸ばしてきたのにもったいないとか

 そういうのは、推しを前にすれば全部一瞬にして吹き飛ぶというものだ。

 彼が前を見ろと言えば前を見るし
 彼ががんばれと言えばがんばれちゃうし
 彼がお疲れって言えば癒されちゃうし
 彼がこういう女性がいいって言えばそういう女性を意識しちゃうし

 それがわたしたち、アイドルの沼に生息するファン──またの名をオタクとも呼ぶ──なのである。