「雲行きが怪しいですね……」

 東京から戻った俺の話を聞いた永瀬桃は肩を落とした。

「まだ手はある」

「どんなですか?」

「口コミの効果でアマソンでの売り上げが伸びれば、『リベンジ』を仕入れようとする書店が出てくると思う。だからミュゲ書房のHPとSNSで積極的に宣伝する。それでお願いがあるんだけど」

「なんですか?」

「広川蒼汰の名前でソウサクのアカウントを作って欲しい」

「え」

 眉間にしわを寄せたその表情は「嫌だ」と雄弁に語っている。

「一時的にで構わない。ソウサクで『リベンジ』の冒頭部分を公開するんだ。あそこはいわば、広川蒼汰のホームだ。書籍を買ってくれる読者がいるはずだ」

「でもソウサクは丸山出版のサイトですよ。今更使うのは」

「なりふり構っていられない」

「わかりました」