訳が分からなかったけれど、ハッとした。
「ねえ……もしかしたら私を雪香と間違えてない?」
そうとしか考えられない。けれど、私の言葉は、女性の怒りを更に煽っただけだった。
「何言ってるの? あなた倉橋沙雪でしょ!」
「そうだけど……でも私、あなたに恨まれる覚えなんて……」
女性の狙いは、雪香ではなく私?
でも一体どうして……もう一度、女性の顔をじっと見る。
血の気のない顔。目には涙を滲ませている。冗談ではなく、本気で私を恨んでいる目だった。
私の混乱はどんどん大きくなっていく、そしてそれは苛立ちに変わっていった。
「あなたのやってる事は犯罪よ! あんな手紙毎日のように送って来て……ちゃんと事情を話さないなら、今から警察に突き出したっていいんだからね!」
女性はビクッと体を震わせた。
「そんな……警察って……」
明らかに動揺した女性の腕をキツく掴み、私は更に言い募る。
「嫌なら私の質問に答えて、まずあなたの名前は?」
女性は諦めたように、肩を落とした。
「……緑川秋穂」
「え? 緑川って……あなた、緑川薫さんの知り合い?」
「……薫君は夫の弟だけど」
ということは、彼女がミドリの話ていた兄嫁なの?
少し悩んだ末、私は緑川秋穂に、ミドリと連絡を取るように言った。
彼女は初め嫌がっていたけれど、警察に行くと脅すと呆気なく態度を変えた。
秋穂は、連日脅迫めいた手紙を送るという大胆な事をしていた割には気が小さいようだ。
スマートフォンを取り出し、ミドリに電話する。
「あっ……薫君、私……どうしよう……」
すぐにミドリと繋がったようだけど、秋穂は動揺しているせいか、まともな話を出来そうになかった。
たまりかねて、秋穂に変わって欲しいと言い、強引に電話を奪い取る。
「秋穂! 何が有ったんだ?!」
スマートフォンを耳に当てると、ミドリの焦ったような声が聞こえて来た。
その様子に少しの違和感を覚える。
「彼女が動揺してるみたいなんで、電話変わったんだけど」
そう言うと、電話の向こうのミドリは息をのみ、警戒したような声を出した。
「あんた、誰だ?」
ミドリは、電話の相手が私だとは思いもしないようだった。
「倉橋沙雪だけど」
「……え?」
素っ気なく名乗ると、ミドリは間の抜けた声を出した。
「沙雪……どうして秋穂と?」
「ねえ……もしかしたら私を雪香と間違えてない?」
そうとしか考えられない。けれど、私の言葉は、女性の怒りを更に煽っただけだった。
「何言ってるの? あなた倉橋沙雪でしょ!」
「そうだけど……でも私、あなたに恨まれる覚えなんて……」
女性の狙いは、雪香ではなく私?
でも一体どうして……もう一度、女性の顔をじっと見る。
血の気のない顔。目には涙を滲ませている。冗談ではなく、本気で私を恨んでいる目だった。
私の混乱はどんどん大きくなっていく、そしてそれは苛立ちに変わっていった。
「あなたのやってる事は犯罪よ! あんな手紙毎日のように送って来て……ちゃんと事情を話さないなら、今から警察に突き出したっていいんだからね!」
女性はビクッと体を震わせた。
「そんな……警察って……」
明らかに動揺した女性の腕をキツく掴み、私は更に言い募る。
「嫌なら私の質問に答えて、まずあなたの名前は?」
女性は諦めたように、肩を落とした。
「……緑川秋穂」
「え? 緑川って……あなた、緑川薫さんの知り合い?」
「……薫君は夫の弟だけど」
ということは、彼女がミドリの話ていた兄嫁なの?
少し悩んだ末、私は緑川秋穂に、ミドリと連絡を取るように言った。
彼女は初め嫌がっていたけれど、警察に行くと脅すと呆気なく態度を変えた。
秋穂は、連日脅迫めいた手紙を送るという大胆な事をしていた割には気が小さいようだ。
スマートフォンを取り出し、ミドリに電話する。
「あっ……薫君、私……どうしよう……」
すぐにミドリと繋がったようだけど、秋穂は動揺しているせいか、まともな話を出来そうになかった。
たまりかねて、秋穂に変わって欲しいと言い、強引に電話を奪い取る。
「秋穂! 何が有ったんだ?!」
スマートフォンを耳に当てると、ミドリの焦ったような声が聞こえて来た。
その様子に少しの違和感を覚える。
「彼女が動揺してるみたいなんで、電話変わったんだけど」
そう言うと、電話の向こうのミドリは息をのみ、警戒したような声を出した。
「あんた、誰だ?」
ミドリは、電話の相手が私だとは思いもしないようだった。
「倉橋沙雪だけど」
「……え?」
素っ気なく名乗ると、ミドリは間の抜けた声を出した。
「沙雪……どうして秋穂と?」