ゆずの写真に落としていた目を上げ、窓の外に視線を伸ばした。今日も天気は快晴で、雲ひとつない抜けるような青空が広がっている。

 昨日あのあと、屋根裏部屋ではない別の場所に記憶が眠っているかもしれないと思い、私たちは透矢の家をあちこち見て回った。でもアルファベットの形をした光は見つからなかった。

 私たちの頭に浮かんだあの星空は、どこを示しているのだろう。

 透矢のお母さんと妹が自宅にいたので、本格的に調べるのは透矢の家族が全員留守になる今日の午後に決めて、昨日は日が暮れる前に解散した。

 ゆずとの記憶を取り戻したいと願う私のために時間を割き、付き添ってくれる透矢たちに感謝の気持ちを表したくて、私はみんなに軽食のサンドイッチを用意して家を出た。


 約束の午後三時、透矢の家に到着した。今日も気温が高く太陽がじりじり照りつけてきて、半袖のブラウスから剥き出しになっている私の腕を焼く。

 インターホンに手を伸ばそうとしたとき、一台の自転車が家の脇に止まった。

「やあ、瑠衣子」

 自転車から降りてきたのは、伸ばしっぱなしだったボサボサの髪を短く切った秋人だった。私は思わず目を丸くする。

「髪、切ったんだね」

「うん。今朝、久々に美容院に行ってきた。ちょっと短くしすぎちゃったかな?」

 軽く下唇を噛みながら前髪をいじる秋人に、私は首を横に振った。

「ううん。そっちのほうが似合ってる」

「ありがとう」

 私たちの話し声が聞こえたのか、ガチャッと玄関のドアが開き、家の中から透矢が出てきた。

「おっ、瑠衣子と秋人。門の鍵、開いてるから入ってきて」

 押してみると、門はなんの抵抗もなく開いた。そこへ理香も到着し、私たちは家に上がった。透矢の家族は全員外出中で、夜まで帰ってこないらしい。

 荷物をリビングに置いたあと、すぐに三階の書斎に向かった。秋人がはしごに手をかけながら屋根裏部屋を見上げる。

「俺たちは屋根裏部屋を見てくるから、瑠衣子はこの書斎の中を調べてくれる?」

「わかった」

 ゆずが死んでからどこか無気力で投げやりだった秋人に、かつてのような活気さが戻ってきているのを感じた。

 三人が屋根裏部屋を調べている間、私は書斎を隅から隅まで調べた。机の下や引き出しの中、本棚に並んでいる本や壁にかかっている額縁の裏も覗く。

 一向になにも見つからず、私たちはいったん屋根裏部屋と書斎から離れた。一階から全部屋、あの不思議な光がないか、または記憶を刺激してくれそうなものはないかくまなく探す。