「あぁ?見て分からんか。
俺もここの会員だ。陸上のな」
「り、陸上ですか!?で、でも課長の右足って
義足ですよね?走るなんて無理ではないですか」
えぇっ!?陸上なの……義足なのに?
そんな足でどうやって走る気だろうか……?
私は、驚いて失言を言ってしまう。
あっと気づいた時には、もうすでに遅かった。
どうしよう……怒られちゃう。
また雷を落とされるのかと思うとビクつく。
すると課長は、ハァッとため息を吐いてきた。
「二階堂……よく見てみろ。そのために
競技用の義足をつけているのだろーが」
呆れたようにそう言ってきた。
えっ?競技用の義足?何……それ?
意味が分からなくてきょとんとする。
すると課長は、少し困った顔してきた。
「そうか……お前は、まともに義足を見るのは、
初めてか?なら知らないのも無理はないな。これは、
競技用の義足って言って普段使っているのと違い
運動に必要なバネや負担を減らすように
考えられて作られた特別なモノだ」
へぇっ~そんな義足があるんだ!?
自分の知らない知識を教えてもらい驚いた。
普段使っているのは、どのようなものか
私には、分からないけど
これは、そのためのヤツなのね?
初めてみる義足を不思議そうに見つめた。
「凄いですねぇ……」
しかし競技用の義足だと分かったけど
これでどうやって走れるというのだろうか?
いくらそのように作られていても義足
つまり偽物の脚な訳だし。
例え走れたとしても……大して走れなそう。
私は、悪いと思ったけど、そんな事を考えていた。
しかも何でそんなことまでして
走る意味があるのだろうか?
無理してまでやる必要はないと思うのだが
私は、課長のしてる事が理解出来なかった。
「二階堂。お前……何気に義足の事を
見下して見ていただろう?」