「えっと……アイム……」
「あぁ、日本語で大丈夫。
大丈夫なら良かった。気を付けて」
サングラスを外すとウィンクをされる。
そして優雅に立ち去って行った。
うわぁ~凄くカッコいい人だった。
サラサラの金髪で綺麗な碧眼。
容姿も女性どころか、そこいらの芸能人より顔負けの美貌。
何より背が高くて優雅な立ち振舞いだった。
紺野さん達なら一発で惚れるだろうな。
ハッ!!そんなことを言っている場合ではなかったわ。
私は、慌ててクーラーボックスを拾い上げると
会場に急いだ。
良かった……何とか間に合った。
最初は、源さんが出場する車椅子のクラスだった。
車椅子は、別名『レーサー』と言われていて
時速30㎞で走ることもあるとか。
源さんを見つけると他の車椅子の選手と同じで
競技用の車椅子を使われていた。
タイヤの部分が左右の他に小さなタイヤが
前にある変わった形になっていた。
サングラスに競技用のユニフォーム。
確かにレーサーみたいな姿だった。
順番を待ちながら腕をストレッチする源さん。
そしてスタートラインに立った。
そして合図の号砲が鳴ると一気に前に進み出した。
うっかり気を抜いていたら
見落としそうになるくらいに速い。
100メートルを風のように走り抜いて行く。
確かに……レーサーだった。
その中でも源さんは、特に速かった。
40代台とは、思えないぐらいの体力に強い腕力。
カッコいい……。見事のスピードで1位になった。
「源さんもまたパラリンピックの銀メダリストだ。
過去に金メダルも取ったこともある
天才レーサーだ!」
課長がそう言って教えてくれた。
えぇっ!?そんなに凄い人なの?
昨日は、ひょうきんなおじさんっぽかったのに。
凄い……課長の周りは、凄い人の集まりだった。
驚きながら見ると春子さんは、ゴールをした源さんを
喜んで出迎えていた。そして一緒に喜んでいた。
なるほど……愛の力なのね。フフッと微笑ましくなった。
次に松岡さんと加藤さんペアの
視覚障害の800メートル準決勝。
こちらも見事活躍で松岡さんペアは、1位になる。
決勝まで勝ち進んで行く。
その際に夏美さんを見ていると凄く喜んでいた。
2人の恋も気になるところよね。
私は、心の中でそう思いながら微笑ましく見ていた。
そして、課長の出番になった。
私は、信じて待つ。課長……頑張って!!
合図の号砲が鳴ると一気に走り出した。
先頭に立ったのは、課長だった。
課長の走り方は、好きだ。風のように切り
どんな選手よりも速く気持ち良さそうに走るから