私は、お父さんと言い合いになった。
課長は、とても素敵な人なのに
それが分からないお父さんに腹が立った。

「いいか?結衣。身体に障害を持っているってことは、
それだけ生活に支障が出るってことだ。
お前が支えられるのか?
精神的にもキツいだろうし、何より世間の目がある。
お前は、まだ若いから何も分からないだろうが
わざわざ自分から苦労を背負うことはないのだぞ。
他にもいい人が現れるかも知れないし」

はぁっ?何よその……片寄った意見は?
世間の目って……それって課長に対しても
障がい者の人に対しても失礼じゃない。
勝手に苦労するとか決めつけないでよ!!

「し、信じらんない。ちょっと課長も
黙ってないで、何かガツンと言って下さいよ!?」

言われっぱなしなのが悔しかった。
普通なら今頃、怖い雷が落ちているところなのに
課長は、黙ったまま何も言わなかった。
一体どうしたのだろうか?

「確かにお義父さんのおっしゃる通りです」
 
すると課長は、あっさりと認めた。
ちょっと……課長!?
私は、その言葉にさらに驚かされた。

「課長?何を言っているのですか!?」

驚いて思わず課長呼びに戻ってしまった。
一体、何を考えているの?
反対されてもいいっていうの!?
唖然とする私と違い課長は、怒るどころか冷静だった。

「生活に関しては、一通りのことは出来ますが
やはり彼女に迷惑をかけている部分もあると思います。
まだまだ俺の未熟さもあるでしょう。
それでも2人で改善しながらやっていくつもりです」

自分のことを悪く言っていた。
何を言っているの?
課長が私に迷惑をかけたことなんて1つも
無いじゃない。それにストイックなあなたは、
ほとんど自分の力でどうにかしている。

「それでも結婚は、反対だ」

「お父さん!!」

頑固なお父さんは、意地でも結婚を認める気はないようだ。
なんて分からず屋なのだろうか。
私がキレそうになっていたら課長は、
「分かりました」とだけしか言わなかった。