あの女性が写っているアルバムを見せるのは、
嫌だったけど仕方がなく
私は、アルバムを押し入れから出した。
すると課長は、そのアルバムを強引に取り上げると
何も言わずに寝室から出て行く。えぇっ?

私も慌てて寝室から出て課長の跡を追った。
リビングを通り抜けキッチンのところまで行くと
課長は、そのままアルバムをゴミ箱に投げ捨てた。
それは……もう容赦なく。

えぇっ!?
課長……アルバムは、不燃物に。
いや、そんなのこの際どうでもいい。

「課長……一体何をやっているのですか!?」

私は、慌てて叫んで思わず
アルバムをゴミ箱から拾い上げてしまった。
び、びっくりした……。

「何って捨てているんだ」

いや。それは、見ていたら分かります。
そうではなくて

「何で捨てちゃうのですか!?
大事なアルバムなのに……」

私は、思わず叫んだ。
本来なら昔の写真を捨てて欲しいとか
大事にしないでとかって思うのかも知れない。
でも、そんなに簡単に捨てられるものだろうか?
課長の場合……容赦ないから
思わない行動に驚いてしまった。しかし課長は、

「はぁっ?そもそもお前は、
何か勘違いをしているようだがこれは、
もともと捨てるはずだったものだ。
前に捨てようとしたら何処かにしまい込んでしまって
見つからなかった。まぁ二度と見ることもないから
そのまま放置していただけのことだ」

平然と理由を話してくれた。
えっ……そうなの?

「えっ……でも亮平さんは、その彼女さんに
未練があるのですよね?」

私は、やっと課長に聞きたかったことを質問が出来た。
すると凄い目付きで睨んできた。
ビクッと肩が震えるぐらいに。

「はぁっ?誰が誰に未練あるって……?
未練あるのは、佳奈の方だけだ。
アイツは、大学時代に付き合っていた。
なのに俺が事故で右足を無くした途端
別れ話をしてきやがった。
真剣に付き合っていたにも関わらずにだ」

「俺に対して未来が見えないとか
車椅子になった俺の面倒を見る自信がないとか
言い訳ばかりしやがった。そりゃあ
身体に障害を持った奴を支えるのは、相当の
苦労もあるだろう。綺麗事では済ませられない。
やって……無理だったと言うのなら理解も出来る。
なのにアイツは、何の努力もせずに
障害だと言うだけでさっさと切りやがった。
俺は、それが許せない」