どうしよう……断るどころか抜け出せなかった。
居酒屋には、男性が数人すでに来ていた。
その中には、目立った人は居ない。
あれ?桐山さんって誰だろうか?
「あれ?桐山さんどうしたのですか?」
女性社員が桐山君が居ないと気づき
そう言って質問してきた。
「アイツは、遅刻。今のプロジェクトが忙しくて
終わったらすぐに来るって……」
あぁ、そうなのか。
さすがエリートと言われているだけはある。
海外営業部のエリートで営業トップ。
その上にイケメンで女性の扱いに慣れているとかで
女性社員から人気が高いとか。
居るのね……そんな人が。
だが私は、それよりも課長のことが気になった。
あぁ、怒っているだろうなぁ……。
行くなと言われているのに来ちゃったんだもの。
ハァッ……とため息を吐いた。
そしとビールを頼んでいると桐山さんが現れた。
紺野さんと女性社員達は、騒ぎ出した。
「お待たせ。遅れて申し訳ない」
桐山さんは、爽やかな笑顔で謝ってきた。
サラサラの茶髪に整った顔立ち。
そしてモデルみたいな体型。
モテるのも頷けるようなイケメンだった。
確かに紺野さんが気合いを入れるのも分かるわ。
前の私なら同じように好意を持ったことだろう。
だが今は……それよりも
課長の顔が浮かんで仕方がなかった。
明日、会社で会うのが……怖い。
仕方がない。ほどほどに付き合ったら
理由をつけて帰ろう。
そう思いながら皆が盛り上がっている間。
ちびちびとビールを飲んだりおつまみを食べていた。
他の女子社員は、桐山さんに夢中になっているのに
私だけ参加しないので桐山さんが私に声をかけてきた。
「えっと……二階堂さんだっけ?
君は、あまり乗り気ではないみたいだけど、
もしかしてつまらない?」
そう言って桐山さんは、ニコッと笑ってきた。
うっ……それは……。
それよりも、こちらに来られると紺野さんに
睨まれてしまうわ。
「そんなことは、ありませんよ。いや、その……」