「待たせたな。やっとお前との約束を果たせる。
これは、結衣のために取ったメダルだ。
大切なメダルだからこそ、お前に贈りたい。
結衣。もう一度言う。俺の人生にお前は、必要だ!
俺の妻として結婚してほしい」
課長は、もう一度私にプロポーズをしてくれた。
それは、私が1番待ち望んでいた言葉だった。
もう一度プロポーズをしてくれると言った
あの日から待っていた。嬉しい……。
涙が溢れるぐらい嬉しかった。
こんな素敵なプロポーズを言われたら断る理由なんてない。
「……はい。よろしく……お願いします」
涙を流しながら承諾した。
そうしたら課長は、私をギュッと抱き締めてくれた。
するとたくさんの人達に握手と祝福される。
課長は、そんな私を上に抱っこするように抱き上げて
「愛してる」と言ってくれた。凄く嬉しかった。
この東京パラリンピックは、私にとったら
最高の思い出になった。
一生忘れることがない大切な出来事だ。
そして私と課長は、晴れて両親に認められ
結婚する形となった。あんなに反対していた父親は、
「見てくださいよ。この金メダル。
ウチの娘の夫になる日向選手が取ったんですよ!!」
結婚とお祝いを兼ねて親戚中を呼んで
小さいながらもパーティーが行われた。
その際に親戚や周りに課長のことを自慢していた。
あんなに反対していたのが嘘のようだ。
もう……調子がいいのだから。
恥ずかしくなりながらチラッと隣に居る課長を見た。
するとニヤリと笑う表情に黒いオーラが見えた。
「りょ……亮平さん……!?」
えっ?何で魔王の顔が散らついているの!?
困惑しながら見ていた。すると課長は、ボソッと
「フッ。これでお前の父親は、
俺に頭が上がらなくなったな。実に気分がいい。
まぁ反対したとしてもこれだけ
メディアに騒がせたんだ。今さら反対なんて
出来ないけどな」と呟いていた。
フフッと笑う姿を見たとき私は、ハッとした。
まさか課長……こうなるのも想定内だったの!?
「亮平さん。まさかこうなるって分かっていて
やったのですか!?」