会った時は、そんな感じが無かったけど
改めて凄い人に会ったんだと再確認させられた。
こんな人と課長が対戦する。思わず息を呑んだ。
きっとリアルで見たら凄い対決になる。
それこそ、まばたきをしていたら
その瞬間を逃してしまうぐらいに……。

「さすが……だな。ロンの奴」

それを見ていた課長は、ボソッと呟いた。
すると急に立ち上がった。

「亮平さん……?」

「ちょっと走ってくる」

えっ?今から!?すでに夜の22時だ。
こんな遅い時間に走ると言い出した課長に驚く。
今から走るなんて危な過ぎるわ!!

「亮平さん。明日にした方が。
もう遅いですし……」

「大丈夫だ。これぐらい何とも……くっ!!」

歩こうとした課長が右足を押さえながら
辛そうな表情していた。えっ!?

「亮平さん?どうなさったのですか!?」

私は、慌てて駆け寄った。
そして庇っていた右足……義足を確認した。
義足を脱ぐと切断した部分には、血が包帯に
染み込んでいた。これは……酷い。
どう見ても練習のし過ぎだわ。
課長は、ストイックだから自分が納得が行くまで
走り続ける。例え怪我をしようが……。

「こんなになるまでやって……。
手当てをしますから今日は、安静にしていて下さい」

「いや、しかし……」

「絶対にダメですからね!!
自分の健康管理や身体を休めることも選手としての
大事なことです」

私は、キッパリと言い切った。
放っておくとギリギリまでやるのだから。
呆れながら言うと課長は、驚きつつも笑ってきた。
何で笑うの?私は、意味が分からずにきょとんとした。
課長は、まだクスクスと笑っていた。
すると私の頭を撫でてきた。