ギクッ!!
課長の一言にビクッと肩が震え上がった。
しかもバレてるし……。

「そ、そんなことは……ありませんけど」

「嘘つけ。声が裏返ってるぞ。ったく
まぁいい。で?お前は、何でここに居る?
新しく入会したのか?」

ギロッと睨まれてしまった。
絶対に怒っている。怖い……。
でも言わないとこの場から離れないと思った。

「あの……体験入会ってヤツです。
友人が水泳のインストラクターをやっていて
それで……誘われまして」

ビクビクしながらも必死に説明した。
怖い……怖い。
お願いだから早く帰りたい。

「ほう……?そういえば二階堂は、学生時代
元陸上部だったな。大会で優勝したことがあるって
面接の時に言っていたよな?」

「は、はい。そうです!!
怪我が原因で早めに引退しましたが……」

慌てて質問に答えた。
ひぃぃっ……何でそんなことまで覚えているのよ!?
そんな過去のこと忘れて欲しかった。

「そうか……なら丁度いい。お前に
競技用の義足とは、どんなものが見せてやる。
ついて来い」と言われた。

はい!?
いや……私は、そのまま帰りたいです。
課長が居るのなら一秒たりとも一緒に居たくない。

「早くしろ」

「えっ……は、はい。」

私は、慌てて課長について行く。どうしよう。
まさか、とんでもないことになってしまった。
こんなことになるのなら断るべきだったわ。
しかし後悔しても……もう遅い。

どんよりした気持ちで課長の後ろを歩いた。
チラッと見るとやはり歩く際には、右足を庇うように
引きずった感じで歩いていた。
ジャージを羽織っており短パン姿だ。