「この目付き……藤崎そっくりだな。
さすが……親子」

浜野さんの言葉に思わず苦笑いしてしまう。
本当にそっくりだわ。思わず驚くほどに。
私は、それ以上尋ねるのは止めた。
そうよね……わざわざ自分で苦しむ原因を
作る必要はない。気にしていたらダメよね。

睦月君が居なかったら、きっと聞いて
泣いていた所だったわ。
もう奥さんの事を聞くのは、やめよう。
改めて睦月君に気づかされた。

チャーハンは、ダメになったけど
ラーメンだけ作り昼食にした。
睦月君用には、小さな丼茶碗に入れてあげた。
浜野さんは、睦月君にちょっかいをかけようとするが
睦月君は、無視して食べ続けていた。

「おい。無視するなよ~睦月」

「大輔。お前…何をやらかしたんだ?」

「別に~大した事じゃねぇーよ。
ちょっと、お前と沙織ちゃんの事を涼花ちゃんに
話してあげようとしたら怒らしちゃっただけ」

「十分にやらかしてるじゃねぇーかよ。
勝手に人の過去を話すんじゃねーよ!?」

そう言い先生にチョップを食らわされていた。
痛そう…。
浜野さんは、痛がりながらも苦笑いしていた。

「いったた……ごめんって。
まだ話してないから許してよ。つい出来心で」

「ったく、出来心じゃねぇーよ。
過去は、過去だ。
他人が余計な事に首を突っ込むな!」

先生は、呆れたようにため息を吐いた。
それを聞いて胸がズキッと痛んだ。
まるで自分の事を言われてるような気分だった。
確かに私は、先生からしたら他人。
無闇に首を突っ込んで話を聞くものではないけど

ガタガタ震え出す手。
するとバシャッと睦月君がラーメンが入った
丼茶碗を誤ってひっくり返してしまった。あっ!?

「た、大変。こぼれちゃったねぇ~火傷しなかった?」

慌てて丼茶碗を戻し布巾で拭いた。
睦月君は、首を振るう。
どうやら火傷は、しなかったみたいだ。