「睦月君。これから夕食を作ろうと思うのだけど
何が食べたい?」

抱っこした状態で聞いてみた。うーん。
これだと答えにくいかしら?
何を食べたいかだと頷けないし……。

「……ハンバーグ」

「えっ?睦月君。ハンバーグが食べたいの?」

あ、答えてくれた!?
しかもハンバーグが食べたいと言っていた。
念のためにもう一度聞き返すと睦月君は、
コクりと頷いてきた。困ったわね。作れるけど……。
あのパンケーキを食べた後にハンバーグって
胃にもたれそうだ。

「それって……明日でも」

そう言い返そうとするが睦月君は、
目をキラキラさせながらこちらをジッと見つめてきた。
うっ……かなり期待をされている。
これだと断りにくい……。

「分かったわ。ハンバーグね」

まぁ、私が夕食を控えればいいか。
でも、よく入るわよねぇ……その小さなお腹に。
不思議に思いながらも夕食作りを始めた。
冷蔵庫を開けると綺麗に整頓されて色々と入っていた。

この完璧さ……自分も見習わねば女の私の方が
いい加減かもしれない。
ハァッ……とため息を吐きながら
挽肉と玉ねぎなどを取り出した。

あ、良かった……材料はあるわ。
玉ねぎの皮を向いてみじん切りにする。
うっ……目に染みる。

チラッと見るといつの間にか睦月君が
椅子の上に乗っかり見ていた。
同じように目をうるうるしていた。

「睦月君。そこに居ると危ないし
目が痛くなっちゃうわよ?」

そう言うが睦月君は、目を擦りながら首を横に振るう。
えっ?まだ見ていたいの?
でもなぁ~と思うがなかなか離れない睦月君。
どうやら料理に興味があるようだ。