えっ……?そうなの?
睦月君が抱っこする人は、珍しいの?
「えっ…河合先輩は、抱っこねだらなかったのですか?」
河合先輩なら優しいから頼めば
いくらでもやってくれそうなのに……。
意外なことに私は、驚いてしまった。
「懐いていたが、抱っこまでねだらなかった。なぁ?」
睦月君に言うとコクリと頷いた。
そうなんだ?なら、何で私だけ…?
だが、すぐにあった事を思い出した。
それは、明らかに懐かれるというより同情に近い。
絶妙に落ち込んでいる時に懐いてくる。
それは、空気を読むのが上手く優しいから
だから、ドジな私に励ましてくれてるのだろう。
「きっと、私に
同情してくれてるからではないですかね」
何だか情けなく申し訳ない気持ちになった。
すると先生は、「同情ねぇ…コイツは、同情だけで
抱っこをねだらないぞ」と言ってきた。
「えっ…?」
「同情ぐらいなら励ましてくれるかもしれないが
そばで見てるだけだ。
抱っこは、本当に懐いてた奴しかしない」
そうなの…?
睦月君を見るとコクリと頷いてくれた。
だとしたら私は、睦月君に懐いてくれた事になる。
嬉しい……。
こんな私でも懐いてくれるなんて嬉しい。
「それより俺は、便所に行きたかっただけだ。
ほれ、仲良く遊んでいろ」
「あ、すみません」
睦月君を受け取ると先生は、さっさとトイレに
向かって行ってしまった。
えっと…これからどうしよう。あ、そうだ。
夕食の支度をしたかったんだった。