「美味しい?」

私が尋ねてみるとコクリと連続で頷いた。
どうやら凄く美味しいようだ。
私も一口食べてみると並ぶだけあって美味しかった。
中身がふわふわで甘い。
これは、人気が出るのも頷ける。

「本当…美味しい」

「……お前ら本当に甘いの好きだよな」

先生は、呆れたように呟きコーヒーに口をつけた。
すると目線が痛い事に気づいた。チラッと食べながら
横を見るとあちらこちらの女性客や女性店員が
こちらをチラチラ見ていた。

うっ……見られている。
先生と睦月君が居るのだから当たり前だけど
見られるとなると恥ずかしい。しかし先生は、
気にする事もなくいつの間にかパソコンを起動させていた。

あ、これから仕事をやり始めるんだ?
この状況でよくやれるなぁ……。
ある意味感心した。しかも先生は、執筆する時は、
眼鏡をかけるんだ?
何だかインテリっぽくてカッコいい。
チラッと睦月君を見ると口のまわりには、
生クリームがついていた。

「あ、睦月君……」

生クリームを取ってあげるため声をかけようとすると
先生が生クリームを取ってくれた。

「ったく、ついてるぞ」と言いながら
ペロッと取ったクリームを舌で舐める先生。
その姿は、なんだかエロい。その瞬間

『キャーッッ!!』

あちらこちらから悲鳴が飛んだ。
私は、その声にビックリしてしまう。
見ると中には、スマホで写メしている人まで……。
何だか観客に見られている動物みたいな気分だ。

「チッ……うるせぇ。さっさと全部食え。
周りがうるせーから食ったら帰るぞ」

「は、はい」

先生は、不機嫌になりながら舌打ちをすると
怒ったように私達に言ってきた。慌てて返事をして食べる。
睦月君も残りを一生懸命食べていた。
何とか食べ終わるとお会計をする。
会計は、先生が全部払ってくれた。