「起こしたかの問題じゃねぇ。
お前、何勝手に俺の写真を撮っているんだよ?」

「す、すみません。あまりにも
素敵なツーショットだったのでつい出来心で」

「何が出来心だ。まったく……油断も隙もねぇ…」

謝ると呆れたように言うと頭をかきながら
立ち上がってしまった。
そして、あくびをしながらキッチンの方に
行ってしまった。あれ……?
スマホを貸せとは言わなかった。
“携帯を貸せ”と言いながら撮った写真を
消されるのかと思ったが。何でだろう?

消さないって事は、残してもいいって
事なのだろうか?うーん。そう悩んでいたら先生が
「ところでお前。随分と早く来たな?
弁当は、もう食べたのか?」と聞いてきた。

「お弁当は、ここで食べようと思って
持ってきました。白雪が心配だったので」

「ふーん」

そう言いながら先生は、ヤカンをコンロに置くと
湯を沸かし出した。
しばらくして私のお茶も持って来てくれた。
そして先生の手元には、カップヌードルがあった。

「先生。お昼は、カップヌードルだけなんですか?」

「あぁ、いつもこれだが?」

平然とした態度をとる先生だった。
えっ……いつも!?

「いつも……何ですか?」

「別に1人で食うなら何でもいいだろ。
それに、これの方が食べながら執筆が出来るからな。
たまに弁当の残り物を食べたりもするが
皿を洗うのもはぶけるし」

椅子に座りながら先生は、そう言ってきた。
知らなかった。先生がお昼の時は、普段
簡単に済ませているなんて……。