「まったく……」

何だか不機嫌そうな先生だった。
夕食を食べている時もそんな感じだった。
白雪を飼う事を反対していた先生だが、てっきり
もう陰ながら許してくれたと思っていたけど
それは、私の勘違いだったのだろうか?

疑問に思いながら食事を済ませる。
睦月君は、夕食が食べ終わる頃には、疲れたのか
眠そうにしていた。しかし白雪を抱き締めたまま
離そうとしないので先生は、そのまま部屋に連れて行った。

眠る時は、いつも先生に絵本を読んでもらう。
私は、リビングの方でノートパソコンを
開けて資料を作っていた。
しばらくしてお茶を淹れるため
キッチンに行っていると先生が戻ってきた。
気になり見ると先生の手には、白雪が
抱きかかえられていた。そして寝床に白雪を乗せる。

「お前は、こっちだ」

そう言いながら優しく白雪を撫でてあげていた。
顔は、見えないがきっと優しい表情をしているに
違いないと私は、そう思った。
やっぱり勘違いではなかったようだ。

先生は、素直ではないだけで
すでに飼ってもいいと思っているはず。
私は、それが分かると嬉しくなった。
何だか先生の顔が見たくなって気づかれないように
近づいて行く。静かに……。
しかし、すぐにバレてしまった。

「何やってんだ?お前は……」

「す、すみません。
白雪と先生のシチュエーションが気になって……」

「はぁっ?何を言ってんだ?お前…」

眉を寄せながらそう言われてしまった。
うっ……バレちゃった。
意味が分からんと言わんばかりの表現をしていた。
すると先生は、立ち上がると行ってしまう。

あぁ、せっかくのチャンスが……。
残念な気持ちになっているとソファーにドカッと
座っていた。怒らしちゃったのだろうか?
オロオロしていると白雪が寝床を抜け出して
先生の足元に近寄ってきた。
甘えるような鳴き声で先生にすり寄っていく。

「し、白雪!?ダメよ…」

慌てて止めようとする。だが、構わずに
先生のそばから離れない。
するとひょいと持ち上げて私に渡してきた。