「あの…お仕事中すみません。
睦月君が外で遊びたいと言うので少しの間だけ
外に行ってきます」
「あぁ……」
先生から短い返事が返ってきた。
怒ってるよね…やっぱり。
しゅんと落ち込みながらも睦月君と外に出た。
一緒に手を繋ぎながら近所を歩くが
よく見たら彼の手には、バスケットボールがない。
あれ?忘れた……にしたら大きいからすぐに気づくわよね?
「ボールは、どうしたの?」
不思議に思い尋ねてみるとこちらを向き
首を横に振った。いらないってこと?
バスケをしたくないってこと?
なら何で、外に行きたいなんて言ったのかしら?
「公園に行く?」
そう尋ねてもまた、首を振ってくる睦月君。
うーん。意味が分からない。
手を繋いだまま黙って歩き続ける。
あ、もしかして……。
「もしかして、私に気を遣ってくれたの?」
部屋に居ると落ち込むと思って気にかけてくれたのかしら?
睦月君は、真っ直ぐ前を向き黙ったまま
歩き続けていた。首を横に振らなかったって事は、
そうだと思っていいのだろうか?
でも、せっかく来たのだし
「でも、せっかくだから公園行こうか?」
そう言うとコクリと頷いてくれた。どうやら
納得してくれたので近くの公園に行く事にする。
遊具もある公園に行くと小学生や幼稚園児ぐらいの
子供達が遊んでいた。
「あれ?睦月~遊びに来れたんだ?」
拓馬君が気づき声をかけてきた。
睦月君は、コクリと頷いた。
「私が一緒だから」と付け足して説明すると
拓馬君は、嬉しそうに笑顔になる。